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ただの日記 #43 (2024.08.17〜2024.08.24)

ローソクとローソク足に対峙するねこの中の人のただの日記
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2024年08月17日(土)

 入院中の父親が呼んでいると母親から電話が入る。(諸事情により)勘当されていて、どうなっているのか理解しきれなかったが、母親の声が切羽詰まっているので取り急ぎ病院に行く。
 ベッドでは父親が熱に浮かされており(アナフィラキシーショックとのこと。父は長く肺の病気と同時に膠原病を患って入退院をくり返しており、こうした状態になるのが初めてではない)、なぜかずっとゴルフの話をしている。(父はゴルフが好きである)
 キャディーさん(看護師さん)に「ショートコースがどうの…」と指示をだし、私に手招きするので手を握っておく。母のことを「おねえ(父は姉をそう呼ぶ)」と呼んでいたため、手を握っていたのが私であると認識していたかは定かではない。
 熱と血中酸素濃度が安定せず、長く病院内で待機(処置中は付き添いができない)していたが、母が朝からほとんど寝ておらず食事もとっていないというので病院に父をお願いして実家に帰宅する。

2024年08月18日(日)

 早朝に病院から電話が入る。父の心臓が一度止まったとのこと。症状緩和のための薬の投入と心臓が保つかの綱渡りを何度か父親はしているが、今回は渡りきれなかったということらしい。母と病院に行く。
 父にすでに意識はなく、何度か処置が行われ、すでに数度のアナフィラキシーショックと、肺癌の手術とおまけにコロナまで経験した父(不摂生でものすごく丈夫な人でした)の遺言により延命を断念する。昨日、長くて太い点滴針を足に刺すしか無かったことや、注射跡で一面真っ赤に腫れた腕の裏側、今日の心臓マッサージのたびにバウンドする大きな体を思い出して、「楽になったのだな」と思い、なぜか少し安心した気分になる。
 葬儀屋に電話し、親戚に電話し、姉に電話する。母親は高校生の時に実母、結婚してから義父、まだ幼児だった実子も亡くしているため、こうした場合の実務を異常に把握している。東京の姉もこれから車で来るという。昨日まで病院の医師の説明は姉が受けており、というのも姉が現役の看護師だからで、私は私で戸主死亡時の必要書類について調べ始めている(私は金融系の仕事をしているため、普通の人よりもこうした時の公的書類に詳しいです)。思ったのと違うな、と思う。誰も泣いてない。心臓の止まった父親の体の色が変わるのを確認する。青くて黄色がかっている。霊安室で葬儀会社が来るのを待ち、父と一緒に葬儀会社の車で帰宅する。遺体とずっといたが、怖くは無かった。父の闘病は長く、そこらじゅうを恨んでところ構わず罵声を浴びせ、治療中ものすごく苦しそうではあったが、思いっきり生きて、思いっきり死んだのだ。この人が起きてきたり化けたりするのを想像できない。私はホラーを書くのは無理かもしれない。
 葬儀の段取りについて葬儀会社と打ち合わせ、檀那寺と連絡。母と事務の分担。父の死去を上司に連絡。
 翌日の出勤のため自宅に帰宅。姉が夕方には実家に帰るとのこと。
 帰宅後、ありったけの余裕資金を地元の私鉄株に突っ込む計算をする。今後実家に母ひとりになるため、実家に帰る回数を多くしよう(前述のように私は勘当されていたので数年実家に足を踏み入れていない)と思うが持病(いきなり眠ってしまうことがあるんです)で車の運転ができないため、地元の鉄道を利用する必要がある。これが結構生活費を圧迫する。この私鉄は株主優待で乗車券を発行しており、株の持分に応じてもらえる乗車券の数が増える。元本割れのリスクはあるものの、頻繁に帰るのを少しでもカバーできれば私としては十分で、そもそもが独り者の私にとって預金のほとんどは老後資金でしかない。この前の日銀の利上げの影響でこの私鉄株もここ数年の底値に近い状態である。優待権で帰れば「生活費を削って帰宅している」という状態に、母が気を使うことも避けられる。
 預金額と株価の見通し、それから株主優待の詳細から目標購入数と予算を決定する。手数料や振込限度額の都合で数回に分けることになる。リスク分散にもなるだろう。一回目分を前日予約しておく。
 いい買い物とはいえないかもしれないが(※ひとつの会社の個別株に多額の資金を注ぎ込むような投資はリスクが高すぎるため、職業人としての私は絶対におすすめいたしません。やめた方がいいです)、失敗したらまた働けばいい。私はまだ生きているから。

2024年08月19日(月)

 夕方に通夜があるため早めに出勤し、開口一番「来なくてよかったんだぞ?」と部長に言われる。行かなくてよかったらしい。
 上司と引き継ぎ、人事に申請、早退届けを出して自宅に帰宅。
 必要書類を揃えて、地元役場に父の死亡届の提出。その後の手続きについての各種案内と埋葬に必要な書類をもらう。
 実家に帰宅。甥たちがきている。かくれんぼをしているらしい。うちに隠れるとこなんてあるんだろうか。
 叔母が近くの畑でとったスイカを持ってきてくれており、姉の家はお土産にお菓子をもってきてくれていた。甥たちが気に入りのお菓子で、「おじいちゃんが食べて(お供えして)からね」と言われてソワソワしている。全部食べられちゃったらどうしようと思っているらしい。そうだね。亡くなった人はお供えを食べない。変なことを言っているのは大人の方だ。
 みんなでお通夜に行き、食事をし、帰る。
 母に疲れていないか確認し(疲れていても「疲れている」というタイプの人ではない)、早く眠るように言い、父の部屋で株の売買履歴の確認、翌日分の購入予約
をする。
 父はおそらく世代的な平均値以上に手のかかる人で、しかも母は学生の時に親を亡くして働いていたため、彼女は好きに旅行したり外食したりといった経験をほとんどしたことがない。
 多分、それをさせるのが次の自分の役割のはずだ。間違っているかもしれないがそう決めた。

2024年08月20日(火)

 告別式。お経をあげ、棺にお供えの花や思い出の品などを入れる。父が、母が植えた花が庭に溢れる様を見て「おんなのこみたい」と渋い顔をしていたのを思い出し(野菜を植えて欲しかったらしい)、花に囲まれて「おんなのこみたい…」と思っていないか心配になる。
 おっさん(旦那寺の住職をこう呼ぶのです)が小学校の頃、父に連れられて通学していたお話をしてくださる。先代のおっさんは祖父と同じ時期に一緒に小学校に通っていて、私は私でおっさんの息子さんと同じ時期に小学校に通っている。田舎っぽいことなんだろうけど、なんかそういうのいいなと思う。
 帰宅し、株の購入予約をし、眠る。

2024年08月21日(水)

 父親の部屋で残っている書類の確認をする。わかった範囲の金融機関に死亡届の連絡をとる。母に公共料金の振込先の変更や、月曜日役場で言われた必要書類でできそうなことの依頼をする。上司から出勤時にオンラインで受講する予定だったウェビナーのURLが届き、戦慄する。ありがとうございます。
 明日には一旦自宅に帰る旨母に伝言。相続関連の書籍をネット注文。株の購入確認。予約。

2024年08月22日(木)

 帰宅し、植木に水をやる。鉢植えの白木蓮を自宅に植えるよう持ちかけようかなと思う。母が植えたがっていたが、花が咲くのに時間がかかるのに躊躇していたのだ。私が育てて3、4年経つのでいいんじゃないだろうか。まだ蕾がついたことはないが、地面に植えれば咲くかもしれないし、咲かなかったら咲く楽しみが増えるだろう。
 ウェビナーの受講。夕方に昨日注文していた本が届く。やるべきことの確認。実家に電話し、翌日書類申請などのために帰宅することを伝える。明日の分のウェビナーのURLが上司から届く。
 必要な書類や印鑑などを準備する。株の確認。購入予約。これで目標購入数の全部。書類確認をしすぎたためか眠れなくなる。

2024年08月23日(金)

 金融機関を回る。平日にしかできない申請は、これから有給を取る必要があるなあと思う。スケジュール調整をしなくては。
 母が比較的元気であることを確認する。そういうのを隠すのが上手い人なので、あんまり信用できないのだけれど。とんぼ帰りで自宅に戻るついでに母と外で天丼を食べる。母の好物なのである。できるだけこうした機会を増やせればと思う。
 店のテレビで日銀総裁を確認しぎょっとする。株価を確認し、購入株が値上がりしているのを確認する。危ないところだった。一日遅れたら予算足りないところでした。私はもう相場には手を出さないと思う。向いてない。
 帰宅し、残りの連絡・事務作業。資料請求段階のものがいくつかあり、残りは先方連絡待ち。できる範囲のことはやったと思う。コーヒーを淹れて飲む。ウェビナーの受講。いつの間にか就寝。風呂に入り損ねる。

2024年08月24日(土)

 深夜に体の痛みで起きる。変な格好で寝たかなと思ったが、どうも体の節々が痛く、頭が働かない。起き上がり、体温を測り、38度の発熱を確認する。
 くたびれたんだな、と思う。子供の頃から行事が終わるたびに熱を出して寝込んだから自信がある。やっているうちは疲れを感じない分、終わった後がダメなのだ。
 水を飲み、冷凍庫からアイスノンを出して枕にする。横になる。実家で熱を出さずによかった。頑張ったんだな、と思う。一日寝て過ごす。

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