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ショートショート おおきくなったら

  ぼくは きのう おかあさんに だっこ してもらってたら、おかあさんが おもいおもいって いいだして、じめんに おろされちゃった。もういっかい だっこって いったけれど もうだめって おかあさんに いわれた。

 おもいんだって、ぼく。

 おおきくなったねえって おかあさんがいいました。ちょっと まえまで あかちゃんだったのにって。

 ぼく、おおきくなったんだ。

 よるごはんの ときに おかあさんが おとうさんに この はなしを して、そしたら おとうさんが いまにどんどん おおきくなるぞって いった。
 どんどん おおきくなって おとうさんより おおきくなるかもって。

 どうしよう。

 おとうさんより おおきく なったら、ぼく おとうさんに おんぶして もらえなくなっちゃう。

 どうしよう。

 ひょっとして、くるまより おおきく なったら。おでかけのとき ぼく くるまにのっけて もらえなく なっちゃう。

 どうしよう。

 もしかして おうちに はいらない くらい おおきく なったら、ぼく おうちを おいだされちゃうかも。ひょっとして おやまより おおきく なって、いっぽあるく たびに おうちを ふみつぶしたり しちゃったら。みんなに きらわれて、でていけって いわれちゃったら。

 かんがえたら、どんどん こわく なっちゃって、よるごはん だいすきな かれー だったのに たべられなく なっちゃって、わあわあ、ないちゃった。おとうさんが びっくりして、おかあさんも びっくりして それから ぼくを だっこ してくれた。おもいけど だっこ。

 それから ぼくは べっどにはこばれて なきながら ねむったんだ。

 ぼくは おおきくなんか ならない。
 ぜったいに。
 おおきくなんか ならないんだ。

ショートショート No.249

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