![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/155049042/rectangle_large_type_2_e1b1e7f7cc92ec32bf1265d4326f5b8b.png?width=1200)
ショートショート(と、朗読) てるてる坊主のラブレター【SAND BOX 1099】
ー彼のまわりには雨が降るのですー
雨男がいました。彼のまわりには雨が降るのです。 雨男の家族もまた雨男。一家は引っ越しをしてばかり。一度、雨男が駄々をこねて同じ街にとどまったことがあります。5日間雨が降り続き、6日めの朝に川から水が溢れました。家族は大急ぎで街を出ました。ごめんなさいごめんなさいと謝りながら。
ある日雨男の名を呼ぶ人がいました。ひとりの女性でした。雨男にはすぐにわかりました。昔、洪水の街にいた少女です。彼女といたくて、雨男は駄々をこねたのでした。
「生きていたのね」
女性が言いました。それからカフェでいろんな話をしました。窓の外に雨が降り始め、どんどん強くなっていきました。
「長居をしたね」
雨男は寂しそうに笑うと、ポケットから何か取り出して女性に渡しました。小さく手を振り、店を出て行きました。
雲間に光がさしました。女性の手にはてるてる坊主がありました。
「君の笑顔がもう曇ることがないように」
街を背にした雨男が呟きました。
![](https://assets.st-note.com/img/1726844896-JPyeDlgoWv2ar5N1cH83EdAn.png?width=1200)
SAND BOX 1099 No.045
声のお仕事をされている(詩や小説も書いておられます)水上洋甫さんにお願いして、朗読をしていただこう、のシリーズ「SAND BOX 1099」です。
今月のイラストはつかださんにお願いしています。
振り返らない雨男の決意の感じが素敵だと思います。
つかださん、トップ記事には、名古屋コミティア65に参加する旨記事を置いておられます。ブース番号はBー59とのこと。
そして、名古屋コミティア、ねこの人も参加予定です。
2024年09月29日(日曜日)11:00−15:00
場所は名古屋国際会議場イベントホール(入場料700円がかかります。)
私のブース番号はA-24、珈琲まねきねこです。
8月わたわたしていて、新刊が持っていけませんが、既刊2冊と雑誌星々の最新号をお持ちいたします。
名古屋のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
今回の元の記事はこちら。
前回のSAND BOXはこちら。
全体をマガジンにまとめています。