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書を置いて、震える膝で街に出よう(ネコ戦記 2023年1月)

 人見知りです。
 どのくらい人見知りかというと、「知らない人はみんな嫌い」くらい。大人としてどうかと思います。

 高校の部活仲間に非常に社交的な方がいて、どうしたら社交的になれるか聞いたことがあります。こういう質問をする時私はターゲットを決めた後、機会を伺って、がしっと捕まえて逃げられなくしてから尋ねます。でも人見知りなのでどもったりしてなかなか本題に入れません。お前用事あるんじゃなかったの、と、大抵の方がひきます。
「俺は初対面が好きのピークで、相手を知れば知るほど嫌いになるんだ」
 要約するとそういう答えでした。とても気にしているそうです。二人で暗澹たる気持ちになりました。「初対面が好きのボトム」の私の方が楽かもしれません。あとは好感度が上がるだけですからね。

 なぜ初対面の方が苦手かというと、お話するのにたくさんの情報を処理しないといけないからだと思います。脳のメモリが小さいんです。複数の方とお話するのも実は得意ではありません。話している間中たくさん考えて、覚えて、覚えきれなくて、処理しきれなかった情報が頭にこびりついて夢に出てきて熱が出たりします。知恵熱ですね。

 月末に公募活動をあけすけに話そう、と決めましたのであけすけにお話しましょう。そうです。先週あたり体調を崩したのは、「人に会いすぎた」せいです。なんてあけすけな! とても恥ずかしいと思っています。


 1月9日に、名古屋の写真をもとにショートショートを書く「コトノハなごや」の表彰式がありました。

 応募作品中20作品が予選通過として公表され、1月9日会場で入選5作を発表、表彰を行うイベントです。
 そんなわけで会場に行ってきました。
 入選佳作をいただいています。ありがとうございます。
 20作品全部に選考委員の方々がその場で講評をくださるという、貴重な機会をいただける会でした。
 質疑応答で「自分は小説家になりたいと思ったことはなく、どうやったら小説を書いていけるか考えて生きてきたら小説家になっていた」というお話をされていた先生がいらっしゃったのが印象的でした。
 入選作は恋愛ものや人情ものを書いた方が多くはいっていて、民話風SFを書いてしまった私はぽっかり浮いていた感じです。
 でも、もともとそういう話ばっかり書いている身としては、そういう、技術的なことを、というか、『技術しかない』書き手が、他者に『そこ』で劣っていては絶対にだめだ、そう思った会でもありました。才能で負けたとしても、技術だけは言い訳がきかないのだから。もっと考えて、のばせるところはのばさないと。※よりによって落とし方の技巧で他の作品に劣るところがありました。

 みっともないというか、あんまりみたくない自分です。自分のそういうところ、好きじゃない(あけすけ)。

 次の週は、昨年いただいた「月々の星々」の「年間大賞」の表彰式にうかがっています。

 会場(食べ物)の写真ですね。会場で招き猫を出したり入れたりするのが恥ずかしくてこれ1枚。どうしてこの写真だけで十分だと思ったのか自分でも謎です。

 星々さんの主催なさっている短編小説コンテストの入賞者の方や、ワークショップの方々も表彰されて、個人書店やSF小説のコンテストの開催と出版を始められたWEBメディアの方、ブログでエッセイを発表なさっている方のお話が聞けたり、みなさんが作った本の販売が行われたり、とてもアットホームな、あたたかい雰囲気の会でした。星々を主催なさっている小説家のほしおさなえ先生が、小説の書き手の方たちが今後どうやって生きていくか、書店や出版は今後どうなっていくのかを、真剣にお考えになっているのだな、ということもひしひしと感じることができました。

 とても貴重で楽しい会だったんです。2つとも。
 しかしですね。
 私、現在、会社で社内のシステム関連の改善のワーキンググループに入っていまして、運が悪いことに1月、各種ベンダーの営業ラッシュにあっていたんです。毎日のように新規プレゼンと会議。私、こういうものです。あなた、そういうものなんですね。どうもどうも。初めてですよね。そちらは2回目。どうぞよろしくお願いします。

 なんか調子悪い……と思いながら朝起きるとなんかお腹が張っているというか、痛くて、鏡をみたら、ぶわーっと発疹ができていました。たまげました。

 本当に社会人なんでしょうか。ううむ。(落ち込んでいます)

 星々の表彰で、副賞として入賞した作品を活版印刷カードにしたものをいただきました。サムネの写真がそうです。
 もともと、こうした紙の印刷物が好きで、活版の作品を買い集めてたりもしておりまして、まさか自分の書いたものが印刷される日がくるなんて思いませんでした。

 家から遠く離れた会場で、知らない方々に囲まれながら、小さな素焼きの招き猫が随分遠くまで連れてきてくれたな、としみじみ思いました。

 口にしてしまうのは、すごく恐ろしくて、恥ずかしいことだけど、こうやって何かを頂いた時の一番の恩返しは、自分が次の成果を出すことだと思っています。普段の仕事でも、ずっとずっとそう思って生きています。

 「あの賞を受賞した人が、あれ獲ったよ」ってなるのが、そのコンテストの名前を有名にするし、箔もつけるんだと思う。

 できるか、わからないけれど。

 今年1年頑張ります。

 とはいえ、1月中に出せた公募は下記の一本だけです。内臓の奥から病巣が湧き上がってきましたみたいな広域で紫色の発疹に恐れ慄いて大人しくしていました。

 ……情けないな、と思う。


愛媛新聞社 超ショートショートコンテスト

 現代ショートショートの旗手 田丸雅智先生が審査員を務めるコンテストです。
 一般の部は、老人ホーム、新聞紙、そうめん、ライオンの像、本、いずれかのテーマで500文字以内。


エッセイ No.033