ショートショート チャリンチャリン太郎(2チャリンめ)
夏空に、大きな入道雲が湧いていました。仲間の入道雲によく通る声で話しかけます。
「おおい。筑紫太郎さんよお」
「ああ。板東太郎かあ」
筑紫太郎、板東太郎というのは、雲の名前です。雲が湧き出す筑後川や利根川を土地の人がそう呼ぶのでした。
「どうだい。元気かい」
「元気よお。おっ父の方が心配だ」
「雨が、よく降るでなあ」
「わしも雷、ひかえねばなんね」
「降らせていい雨と、悪い雨があるでなあ」
『悪い雨』。坂東太郎は昔のことを思い出しました。77年前です。
「チャリンチャリン太郎はどうしてる?」
「誰だいそれは」
「ほら、キノコの形で、広島のほうに」
「覚えてねえよう」
「真っ黒い雨を降らせんだ」
「どんなおっ父から産まれるとそんな雨が降るんだ」
「流れっと『チャリンチャリン』て音がする川だそうな」
「へえ。もういねえんだろ?」
「わかんね。でも川は流れてんだろうな。時折ああして、ほら、ヒトが祈ってんだ。二度とあいつが出ませんようにって、な」
本日8月6日(土)は、広島原爆の日です。
そうはいっても、そんな戦争二度と起こらないよ、と言う風な気持ちで夏休みを過ごす子供時代でしたが、今の世相はそうでもなくなってきていることに、大変残念であると同時に、社会の形を図らずも作ってきた大人の一員として、次世代の子どもたちに、恥ずかしく申し訳ない気持があります。
8時台に間に合わせたかったんですが、寝てました(重ねて恥ずかしい)
遅ればせながら、黙祷。
たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加しています。
今週のお題は「チャリンチャリン」「太郎」です。
小粋でポップなヒスイさんも書いておりますぞ!
私側の2答めは、投降日が8月6日であることを確認してる時点で書いてしまっているので、ほぼ同じテーマなの、許してね。
1チャリンめ