ショートショート 棒アイドル
都会の夜空は赤茶色に燻って、バーボンの香りがしていた。誰もが心に寂しさを抱えるこの街で、孤独な一匹狼たちを引き合わせたのは、他ならぬ棒アイドルだった。
人恋しいがお互い干渉されたくない。棒アイドルはそんな男たちの心のオアシスだ。ライトが輝く狭い室内に熱気が渦巻く。見ず知らずだった俺とあいつは目があった途端、お互いを同志だと理解した。
棒アイドルマスター。魅惑的な彼女……。
「待った」
英語教師が声を上げた。生徒が音読をやめて教師を見る。
「宿題の日本語訳、Goolegoole翻訳でやった?」
「やってません」
「『棒アイドルマスター』ってなに?」
「先生、『アイドルマスター』ご存知ないんですか」
「20世紀初めのアメリカ小説が『アイドルマスター』について書く?」
「SFかも。予言系の」
「宿題、ネットで翻訳しないように」
英語教師が生徒を座らせた。隣の席の生徒が音読を始める。
「一匹狼たちが出会ったのは『酒場 アイドル』だった」
たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加しています。
今週のお題は「棒」「アイドル」です。
アイドル系はちょっと苦手ですね…。これちょっと反則だなと思ってます。
週末にリベンジしたいところ。
先週のお題「ジュリエット」「釣り」
ヒスイさんがポップでキュートにかかれていますよ!
(紹介おくれてごめんなさい)