名著「嫌われる勇気」 まとめと考察 読書が苦手な人でも安心
一.トラウマを否定せよ
Case1.(トラウマ)両親からの虐待 → (現在)引きこもり
(仮説)あらゆる人の「現在」が、「過去」によって決まる。
→虐待を受けた人全員が、引きこもりになるはず
過去の原因だけで物事を説明しようとすると、話は自ずと
「決定論」に行き着く → 「原因論」
過去の「原因」ではなく、今の「目的」を考える。
×「虐待を受けたから引きこもる」
〇「引きこもりたいから、虐待を受けた過去を持ち出す」
→ 「引きこもる」という目的を達成するため、虐待を言い訳に
→ 「目的論」
我々は過去の経験に「どのような意味を与えるか」によって
自らの生を決定している。
→ 人生とは自ら選択するもの
ソクラテスのパラドックス
純粋に悪事を行おうと、犯行を犯す犯罪者はいない
→ 当人にとっては「しかるべき理由」があってのこと
→「善」の遂行 (※「善」=「自分のためになる」)
今君が不幸なのは、自ら「不幸であること」を選んだから
何故か? → 「不幸であること」が「善」だと判断したから
人はなぜ変われないのか?
ライフスタイル・・・性格や気質のこと
あなたは「あなたのライフスタイル」を自ら選んだ。
「ライフスタイル」は再び自分で選び直すことも可能
しかし… 変わらない方が楽だし、安心だから
「変わらない」を選択
アドラー心理学 → 「勇気の心理学」
幸せになる勇気が足りてない
二.すべての悩みは、対人関係
Case2.赤面症の女の子
Q.「赤面症」が治ったら何がしたい?
A.意中の彼に告白したい。
どうして赤面症が治らないのか?
→ 彼女自身が「赤面症」を必要としている。
彼女が恐れていること
→ その彼に振られること
「赤面症」を彼と付き合えない言い訳にすることができる。
→「もし赤面症が治ったら私だって…」という可能性の中で生きれる
個人で完結する悩みはなく、そこには必ず他者の影が存在
Case3.155㎝という身長
客観的にみて、低身長だし、劣等性に見える。
→ 問題は私がその身長にどのような価値を与えるか
あくまで他者との比較で生まれた「主観的な解釈」
友人から見た低身長の印象・・・「人をくつろがせる」「人を威圧しない」
「主観的な解釈」の長所 → 自らの手で選択可能
劣等感について
優越性の追求 ↔ 劣等感
優越性の追求・・・無力状態から脱したいと願う欲求
劣等感・・・理想状態にない自分に対し、劣っているという感覚
→ 劣等コンプレックス・・・劣等感を言い訳に使い始めた状態
→ 優越コンプレックス・・・偽りの優越感に浸る状態
優越性の追求 → 他者との比較必要なし!
健全な劣等感 → 「理想の自分」との比較
人生のタスクについて
個人が直面せざるをえない対人関係
→ 仕事、交友、愛
行動面の目標 ①自立すること ②社会と調和して暮らせること
心理面の目標 ①私には能力があるという意識
②人々は私の仲間であるという意識
→ これらは「人生のタスク」と向き合うことで達成できる。
人生の嘘
(例)あなたはAさんを嫌っている。
×「Aさんの欠点が許せず、嫌い」
〇「嫌いになるという目的のために、欠点を探す」
この理屈でいけば、あらゆる他者を「敵」と見なせる。
→ 様々な口実を設けて、「人生のタスク」を回避
→ 「人生の嘘」
三.他者の課題を切り捨てる
承認欲求について
アドラー心理学ではこれを否定
承認欲求の要因 → 賞罰教育の影響
「適切な行動 → 賞賛」 「不適切な行動 → 罰」
→ 裏を返せば 「賞賛されない → 適切な行動しない」
「罰せられない → 不適切な行動をする」
他者の期待など満たす必要なし!
課題の分離について
「勉強する」という課題 → 「誰の課題?」
×「親の課題」 〇「子供の課題」
親の命令「勉強しなさい」=他者の課題に土足で踏み込む
「自分の課題」と「他者の課題」を分離
対人関係のトラブルは、課題の未分離によるもの
「自分の信じる最善の道を選ぶこと」
「他者の評価」=「他者の課題」
≠「自分の課題」
「承認欲求」→「他者の課題」=「自分の課題」との思い込みによる
Case4.嫌な上司
原因論:「あの上司がいるから、仕事が出来ない」
目的論:「仕事がしたくないから、嫌な上司を作る」
「課題の分離」が出来たら・・・
嫌な上司のクレーム=「上司が始末するべき課題」
「課題の分離」=対人関係の入り口
→ 近すぎず、遠すぎず、適度な距離を保てる。
「対人関係における自由の代償」=「他者に嫌われること」
自由 ≠ 「組織からの解放」
承認欲求に囚われる → 自分の生き方貫けない
「自分のことが嫌いな人がいる」≠「自分の課題」
「自分を好きになってほしい」→「相手の課題」に介入しており
「課題の分離」に反する。
Case5.父親に殴られた経験から、関係が悪化
原因論:「殴られたから父との関係が悪化」
目的論:「父との関係をよくしたくないので、殴られた経験を持ち出す」
対人関係のカード
原因論 → 相手のせい。関係修復は相手次第。こちらは手も足も出せない。
目的論 → 関係修復のカードはこちらの手に。目的部分を変えればいい。
「課題の分離」→ 対人関係のカードは全て自分の手に
「承認欲求」 → 対人関係のカードはいつまでも他人の手に
四.世界の中心はどこにあるか
共同体感覚について
1) 他者を仲間と見なし、そこに「自分の居場所」があると感じられる
2) 国家や人類等を包括した全て。動植物や無生物も含む
3) 「到達出来ない理想」
4) 「私とあなた」ふたりの人間がいたら、それだけで共同体
→ 「自己への執着」から「他者への関心」への切り替え
×「この人は私に何を与えてくれるか」 〇「私がこの人に何を与えるか」
→ 共同体へのコミット
「課題の分離」から「共同体感覚」へ
互いに協力し合う関係になるには? → 「横の関係」
(例)子育て
二つのアプローチ 「叱って育てる」「褒めて育てる」
「褒める」という行為について
「能力のある人が、ない人に下す評価」という側面
「他者を褒める、叱る」→ 背後にある目的は操作
「誰かに褒められたい、褒めようとする」→ 「縦の関係」
アドラー心理学では・・・
×「縦の関係」 〇「横の関係」
「劣等感」→「縦の関係」から生まれる
「課題の分離」→「自力での解決」を援助
「私は共同体にとって有益」と実感 → 自らの価値を実感
まずは他者との間に、一つでもいいから「横の関係」を築く。
五.「いま、ここ」を真剣に生きる
「共同体感覚」に必要な要素
1.「自己受容」 2.「他者信頼」 3.「他者貢献」
「自己受容」について
「自己肯定」・・・出来もしないのに「私は強い」と暗示をかける。
「自己受容」・・・「出来ない自分」を受け入れ、前に進んでいく。
「変えられるもの」と「変えられないもの」を見極める。
→ ありのままの自分を受け入れ、変えられるものを変えていく勇気
「他者信頼」について
「信用」・・・条件付きの話
(例)銀行の融資→「返済可能な分だけ」貸す
「信頼」・・・一切の条件をつけない。無条件に信じる。
→ 何も恐れず信頼し、もっと深い対人関係に踏み込む勇気
「他者貢献」について
×「私を捨てて誰かに尽くす」 〇「私の価値を実感するためにする」
→ 他者に対して、何らかの働きかけ、貢献しようとする。
「幸福とは、貢献感である」
全ての人間は、幸福になることが出来る。→ 貢献感が必要
人生とは「連続する刹那」
我々は「いま、ここ」にしか生きることが出来ない
→ 計画的な人生など不可能
(例) ダンス
踊ること自体が目的 → 何処かに到達しようと思わない
→結果として何処かに到達
「キーネーシス(動的)な人生」→ 目的地に到達しようとする人生
「エネルゲイア的な人生」→ 過程そのものを結果と見なすような人生
(例)自分が劇場の舞台に立っている姿
会場全体に照明 → 客席の一番奥まで見える。
自分にだけスポットライト → 最前列さえ見えない。
これを人生に置き換えると・・・
人生全体にぼんやりと光 → 過去や未来が見えてしまう。
「いま、ここ」にだけスポットライト → 過去も未来も見えない。
→「いま、ここ」だけを、真剣に生きるべき
人生の意味とは何か?
アドラーの答えは「一般的な人生の意味はない」
→「人生の意味はあなた自身が与えるもの」
世界とは他の誰かが変えるものじゃない。「わたし」によってしか
変わりえない。
⇒ 「わたし」が変われば、世界が変わる。
「嫌われる勇気」 考察
この本の内容を一言で表すと、言い訳するな!
⇒ 言い訳せず、ありのままの自分を受け入れ、自分で選択し
幸福に生きる
僕が思う各章のテーマ(全五章)
一、二章・・・人がいかに言い訳をして、嘘をついて生きているかを
論理的に説明
三、四、五章・・・ありのままの自分を受け入れ、幸福に生きる為の
方法論をアドラー心理学を通じて解く。
「嫌われる勇気」を読むだけでは、変わるのは難しいと考える理由
1)日本の教育にも問題アリ
日本の教育 → 「協調性」「連帯責任」
はみ出すな、ルールを守れを最優先
→ ありのままの自分では生き辛い空気が日本にはある。
だから日本で売れたのかも? アメリカとかだと売れなそう。
2)「課題の分離」が難しい。承認欲求は中々消せない。
人間は身を守るため、昔から群れを成して生きてきた。
→ 群れから離れることを恐れる本能をもっている
→ 承認欲求をせずにはいられない