David Hume, "Treatise of Human Nature"

本noteはヒュームの『人間本性論 第二巻 情念について』の試訳である。底本はノートン版(2011, pbk版)、太字は原文強調、段落冒頭の数字は段落番号である。内容は随時更新する予定である。

第二巻 情念について
第一部 誇りと卑下について
第一節 主題の区分
1 精神のすべての知覚は印象観念に区分されることができるとともに、また印象も根源的二次的という別の区分を受け容れる。印象のこの区分は、私が感覚の印象と反省の印象へとその印象を区別したときに私がかつて用いていた区別¹と同じである。根源的印象あるいは感覚の印象は先行するいかなる知覚もなしに、身体構造から、精気(animal spirits)から、対象が外面的な感官に当たることから心(soul)に生ずるようなものである。二次的、あるいは反省的な印象はこれら根源的なものから直接的にか、その印象の観念を介在させることによって生ずるようなものである。第一の種類(根源的印象)については、すべて諸々の感覚から生じる印象であり、身体的快苦のすべてである。対して第二の種類(二次的印象)については、情念(passion)であり、それに類似する他の情動(emotion)である。

¹デイヴィッド・ヒューム『人間本性論 第一巻 知性について』、第一部第二節。

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