見出し画像

砂の上

煮物を解凍する時間に帰りたくなる
祖国の風は苦くて目が痛い
次第に高まる胸の鼓動
ドキドキではなくドクンドクン
連投させられているような気配
届かなくてもいいと言われながら
その時の空は曇りすぎているから
実際はそこが外かもわからない
ジッする時間に待ちわびる景色
謎の季節を行き来しながら
育たず萎れる果実の花
ツバメたちが帰れなかった巣
明滅しすぎてほぼずっと光ってる
そう感じるぐらいのスピードで
映画のように走り切った
私たちは飛行機雲を振り返らない
それが空だったかも定かではない


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?