マガジンのカバー画像

物語

262
物語っぽいうたをまとめていきます。
運営しているクリエイター

2021年6月の記事一覧

otogination

さあさあ どんどんヒリヒリしようぜ 太陽を背中にしょって 満面逆光で燻んだ金髪を揺らしながら ここは海だったかと思わせる口ぶりで あなたは拳を大きく突き上げた 高くはなくてそれは大きく 大きな大きな機動力を持ちながら 目の前の幸せも不幸せも その両方に意味とかあります? を物語るには充分な密度と硬度を持った 大きな大きなただの岩だった

かくれんぼ

暗い部屋で時は過ぎた 溢れるほど見つめた 僕と僕 近い未来 遠い未来 距離を図れるほど 大差はない 闇雲に飛べばいい 誰かがそう言って またその一歩を 踏みはずそうになった ランプを灯せど かろうじて照らすのは また僕に戻るための 一本の道だけ 神様にお願いをしても 大したことはないだろうと 足蹴にされるだけ それならば祈る筋合いもない 新しい朝に復活を遂げる 夜を越えて また少し先の未来が 顔を出しては かくれんぼ

トーキングレディ

どうかしたか問うとまだ そんなに大したことない気分 闇につかれて掻き毟る今夜 だいたい開いて見えるのです たまにだからあんま気にしてないが カクテル持つ手震えてないか 戦士とかただの重労働か 髪分ける仕草反芻していてまだ 向こうにあるのか問わないのか 滅多に見れない膝の裏側 役にたてればそうでもないが ざわつく素肌散りゆく花びら 最果てどこだ道しるべあるか ねねなんか腑抜けた声で 革命とか叫んでなかった? トイレの隙間シミだらけだわ 遊ぶ暇ならいくらでも売るわ

しょーもない風邪

裸になって 抱き合うこともなく しょーもない風邪 ルルルルル 炎天下だったなんてこたもう さほど言い訳に相応しくなく 新しい夏 膨れろよ未来 しょーもない夢 ラララララ 美術で描いた世紀末戯画 アレのパクリってバレないか 不安 裸になって 恥じらいもなく しょーもない風邪 ルルルルル 半径ゲーミングチェアクルクル 遅くなる 夜ご飯の時間

ロマンス

ただただ ただただ 刻むだけの僕らは老人かな ただただ ただただ 遷すだけの僕らは聖人かな 嘘も真実も同じ筆致で綴れば 全てが尊い 皮膚をさらりと撫でるあなたの手が いつの日か風に溶けて消えてしまっても 企てた瞬時に交わした笑みや 綻びはわざと捨てずに残してあるのさ 紫色の記憶が今は心地よく扇ぐ 風を

サイドミラー

剥げた皮膚をあつめながら もうひとり分の私を作るけど たまにはぜんぶ壊したくなるよ 心のヒダヒダは今も揺れてます 声を殺して泣くたびにあなた 少しだけカラダが小さくなる 目と鼻の先にあるものだけ 見ながら進めばいいよ それ以上の未来はいいよ

淘汰

切り貼りして熱と冷えを交互に 飽くなき探究は吐きそびれて消化 絵の中の私はとても美しい 手触りの良い毛布で眠りたい今すぐ ケチャしてる人みたいにわめついて 恥ずかしい素振りだけで逃げてきた 後腐れないように気をつけて カレンダー通りに生きていたい 昔みたいに

闇夜

急にライトを消すキミ 暗がり一緒に歩いてたら 月明かりでは足りないね、と 小さなライター、カチッとする 先が赤くて元が青いよ 指がそのグラデーションなぞる 皮膚の皮の焦げた匂いだけ 少しだけせつない

サイレント

振り返ると君が窓を割って 外に飛び出していく瞬間 今もわからぬままで目が覚める 笑い話に花を咲かせ 腹を捻りクシャッなっていた A4の紙捨てる時みたいに 海が 飛行機雲が 何かを紛らわして 夕暮れに飲み込まれていく 風が 台風前みたく うだる雲運んで ださい終末感を醸し出した

ある日

ある日 それは生まれた ある日 それは消えた ある日 を予測できないから 僕らは歩かなければいけない 注意深く