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テスラがBTC投資、テスラは現代版バークシャー・ハサウェイ?


マネックス証券 チーフ外国株コンサルタント

岡元兵八郎

テスラ(TSLA)CEOイーロン・マスクの発言をきっかけにビットコインの価格は市場最高値を更新しました。

今週2月8日、火曜日NY時間の株式市場寄り前のことです。イーロン・マスクはツイッターで、テスラが保有する現金の1部を デジタル資産、 金、金のETF、 その他の資産に投資をするとコメント。この決定に基づき、既に同社はビットコイン15億ドル(約1600億円)に投資をしたと発表しました。今後もデジタル資産を時々、または、長期的に投資をするかもしれないと言っており、近い将来テスラが販売する製品をビットコインで買えるようにするとも言っています。

このニュースを受けてビットコインが暴騰、翌日史上最高値を更新する展開となります。現時点でのビットコインの価格は約500万円です。昨年12月末の価格は約300万円ですから、昨年末からビットコインの価格は約6割上昇したということになります。

テスラは、1月に現在保有する余剰資金を分散化することで、最大限のリターンを得ることを決定したとしています。
私がこのニュースを聞いて興味深いと思ったのは、この話はウォーレン•バフェットのバークシャー•ハサウェイ(BRK.B)の現代版だと思ったのです。どういう事かと言いますと、バークシャーの本業は保険のビジネスを行っているわけですが、これにより毎日保険料という形で潤沢な現金が入ってくる訳です。その保険料収入を現金のまま保有しているのは無駄であり、債券や株式の投資し、その素晴らしいパフォーマンスで世界的に有名になったのがバークシャー•ハサウェイです。今回イーローン•マスクは、余剰資金を株式や債券という伝統的な資産でなく、新しい資産クラスであるビットコインに投資をした訳です。そこが未来志向型のイーロン•マスクらしいなと思った次第です。

同社は2020年末の段階で、190億ドルの余剰資金を保有したと言われていますので、そのうち約8%をビットコインの購入に使ったことになります。

ビットコインを使ってテスラ車の購入ができるようになるということですが、これは新たにEV車の買い手を生み出す可能性があります。因みに、皆さんご存知かと思うのですが、日本では例えばビッグカメラでビットコインを使って買い物ができるようになっています


実はマスクは、今年の1月末のツイッターの自己紹介の所に、ビットコインのハッシュタグをつけるということをやっていたのです。つまりこのようなヒントもあったのです。これを受けて、ビットコインの価格が20%上昇したと言うこともありました。加えてその2日後には、 ソーシャルメディアのクラブハウスで、「ビットコインは良いものである。ビットコインを私は支持する」というコメントを出しています。そういった意味でも今回の前兆はあった訳です。

ビットコインの価格は、昨年も大きく上昇した後、暴落し、今回大きくまた買われたという動きになっています。近年ビットコインを取り巻く環境としては、良い展開が起きています。それは、機関投資家が彼らのポートフォリオの一部にビットコインを保有する様になってきているというものです。 この話は4―5年前からあったのですが、昨年その傾向が顕著になってきています。

ビットコインに対する投資家の興味は株式市場でも明らかになっています。
アメリカの株式市場ではグレースケール•ビットコイン•トラストというビットコインのETFが上場しているのですが(日本では金融庁の規制により投資はできません)、このETFの1年前の運用資産額は約20億 ドルだったのですが、それが現在約400億ドルまで増加しています。しかも、昨年の第3四半期から第4半期にかけて、1回当たりの取引の額が倍になっているようなのです。このデータが意味するのは、機関投資家の取引が増えたのが関係しているのではないかと考えられます。

参考までにですが、株式市場でビットコインの普及、価格の上昇で恩恵を受ける銘柄としては、例えばクレジットカードのVISA(V)があります。 同社は2016年にVISA B to Bコネクトと呼ばれるブロックチェーン技術を使ったビジネスからビジネスへの支払いを安全に行うことを可能にするインフラ投資を行なっている会社に投資をしています。 これによりビザは、仮想通貨のウォレットとクレジットカードやデビットカードのアカウントをつなげ、 ビザの顧客に仮想通貨の現金化を可能にするサポートを行っています。現在25以上の仮想通貨がビザのサービスにつながっていると言うことです。

もう1つはスクエア(SQ)です。モバイルペイメントの会社のスクエアは、2018年からスクエアの顧客にとってビットコインの取引を可能にしました。
実はスクエアはテスラの先を行っています。2020年の10月のことですが、 同社は5000万ドル相当、約53億円分のビットコインを会社の資産の一部として購入しています。 これは同社の資産の1%に相当するそうです。
また、ビットコインのマイニングに必要とされる半導体を作っているエヌビディア(NVDA)も恩恵を受けると考えられます。

今年は全米最大の仮想通貨の交換所であるコインベースのIPOが行われる予定となっています。上場が具体化すると、仮想通貨の人気が高まってくるのではないかと思います。

最近私の動画でも出演頂きましたARKインベストCEOのキャシー•キャッシュさんとのインタビューをご覧になられた方はお分かりかと思うのですが、キャシーさんもビットコインについては強気の見方をされています。
現在のビットコインの時価総額は約8700億ドルなのですが、キャシーさんの予想ではこれが3兆ドルまで増える、つまり現在のレベルから約3.5倍上昇するという風に考えているようです。
キャシーさんのビットコインについての考え方に興味がある方は、こちらを( https://youtu.be/7sLluqdOpsY画 )をご覧ください。

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