テスラが描く未来、自動運転で世界が変わる　ロボタクシーが現実に：交通革命の夜明

2024年10月11日　マネックス証券　ハッチ　（岡元兵八郎）

 
テスラのロボタクシーのイベントに参加したテスラファンは、まるでSF映画の世界に入り込んだかのような未来の一端を目の当たりにしました。
10月10日米国東部時間１０時（日本時間翌朝11時）に予定されていたイベントは、会場で病人が出たとのことで53分遅れてスタート。
会場はカリフォルニア州バーバンクのハリウッド映画の撮影が行われるワーナーブラザーズの映画スタジオを貸し切って行われました。
テスラのデザイン責任者であるフランツ・フォン・ホルツハウゼンがイベントの幕を開け、イーロン・マスクを紹介します。
すると、マスク氏が建物から現れ、新型「サイバーキャブ」に乗りこみ、スタジオ内を自動運転走行。到着すると、さっそうと会場に登場、「ウエルカム・トウ・ウィロボット（Welcome to WeRobot）！」　のオープニングのあいさつで始まりました。
 
今回初公開されたサイバーキャブにはステアリングもペダルもなしで走行、運転手を必要としない、まさに自動運転のためのEV車です。
マスク氏によれば、将来的にこの技術により、交通のあり方が根本的に変わるとのことです。「今までの交通手段には多くの無駄がある。たとえば、車の利用時間は1週間にわずか10時間程度。自動運転技術が進化すれば、この効率は5倍、いや10倍にもなるだろう」と彼は述べています。
車の自動化は人々を死亡事故や怪我から救うだけでなく、車の中で過ごす膨大な時間を取り戻す手段にもなります。その時間は、スマートフォンを使ったり、映画を見たり、仕事をしたり、好きなことをするために使えます。自動運転の世界では、車はまるで小さなラウンジのようなもので、快適にくつろぎながら好きなことができ、気がつけば目的地に到着しているというわけです。「個別化された大衆交通」として、自動運転車が多くの人々にとって手頃な移動手段となる日は近いでしょう。
 
マスク氏の話の中で、私が「そうだよね」と思ったのは、昔のエレベーターの例え話でした。昔を思い出すと、エレベーターには必ずエレベーター係がいて、時には疲れてミスを犯すこともありました。しかし、今では自動化されたエレベーターがあり、ボタンを押せば行きたい階まで自動で運んでくれます。もし今、エレベーター係がリレー式の大きなスイッチを使って操作していたら、すごく不思議に感じるでしょう。車の自動運転化もそういうことなのです。
 
マスク氏は、テキサス州とカリフォルニア州では2025年中に自律型のFSDをモデル3とモデルYに搭載する予定と発表。
バスの操業コストは１マイル（1.6キロ）辺り１ドル（約150円）ですが、ロボタクシーのコストは20セント（約30円）まで下がってくるだろうと言っています。最終的な料金は税金を入れても30から40セント（約45円から60円）くらいになるのではと言います。
つまり、今のバスの料金より安い値段で、自動運転のタクシーが使える時代が来ようとしているのです。自動運転車が多くの人々にとって手頃な移動手段となる日は近いでしょう。
サイバーキャブを使ったロボタクシー事業については、大幅な台数を持って2026年に導入を目指すとのこと。
 
テスラ車はアルファベットのWaymoと違い、自動運転をカメラとAIを使って自動運転を可能にするため、機器のコストは高くなく、生産コストも安くなるといいます。
サイバーキャブの販売価格は3万ドル（約450万円）を切るのを目指しているといいます。
また、今回ロボバン（ROBO　VAN）という20人用の自動運転のバンも発表されました。
このも未来を感じさせるバンは、荷物も搭載できます。
 
今回にイベントには人型ロボットのオプティマスも登場しました。
2021年8 月のAIディで、最初にオプティマスを紹介した際には、人が入っていたぬいぐるみのロボットだったのですが、今回はもちろん本物のロボットで、イーロンマスクによると、その性能は大きく進化したと言います。確かに見ているとしなやかな動きがされています。これからオプティマスが実際に実用化されるまでに大きな進化が起きるのだと思います。
会場で投影された動画では、子供とゲームをしたり、家の中でゲストに飲み物を提供する様子が映りました。まさにロボットと共存する未来の家庭の姿です。

会場も、踊り場でオプティマスが踊ったり、実際の会場の人混みに入りジャンケンをしたりしていました。
イベント参加者とじゃんけんをして負けると悲しそうな仕草をするのです。
また、オプティマスがカウンター越しに、両手を動かしゲストに挨拶したり、お土産を選び、ゲストに渡す姿が見られました。
将来的に、人の足りないレストランやバーでのドリンクをロボットが作り提供してくれるのが想像できます。
マスク氏は、オプティマスを「ありとあらゆる種類の中で史上最高の製品」と呼び、世界中の人々が使うようになるだろうと語ります。
 
このような展開が起きるのはテスラが単なるEV車メーカーでなく、AI企業だからです。
テスラが変えるかもしれない、私たちの未来。AIがもたらす変革に、今後も目が離せません。未来はすぐそこにあるのを感じるイベントでした。