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アフリカ事件簿 #1 ~砂漠への漠然とした憧れ~

わたしは昭和の終わりに母の体内で発見されすくすくと育ち、平成の初めての立春後のある寒い日の朝、この世界にぬっと登場した。出現地は、愛知県北西部、濃尾平野に位置する祖父江町である。

祖父江町といえば銀杏、銀杏といえば祖父江町というくらい、祖父江町と銀杏は蜜月の関係にある。特筆すべきことは銀杏くらいしかないが、
住むにはちょうどよい田舎である。

祖父江町は岐阜県との県境に位置し、少し自転車を走らせると雄大な木曽三川(木曽川、揖斐川、長良川)がお出ましする。

余談であるが、社会人になってから九州の一級河川である筑後川を見て

「すごい・・・!」

と感動している同僚を横目に、「え、この程度で?」と思ってしまったのは
すべて木曽川のせいであることをここに報告する(ごめんなさい)。

木曽川沿いの沼山に
松風吹けば父母の
微笑む顔を思い出す

というのはわたしの母校の校歌の歌い出しであるが、その木曽川沿いの沼山には祖父江砂丘と呼ばれる砂丘が存在し、「サンドフェスタ」なる祭りも執り行われ、大型砂像が並ぶ姿はなかなか壮観である。

平成の大合併で祖父江町が主権を失うまで、「銀杏祭り」と「サンドフェスタ」が、祖父江町の二大祭典であったように思う。(稲沢市に吸収合併されてからは、「はだか祭り」というファンタスティックな響きの祭りに全てもっていかれている感がある)

前置きが長くなったが、幼い頃のわたしは、祖父江砂丘に遊びに行くたびに
何か憧れのようなものを感じていた。

この「何か」はいまだにわからない、が、この憧れが、田舎のわたしをアフリカまで連れて行ったような気がしてならないのである。

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