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「博物館浴」って、ご存知ですか?
2025年1月20日の日経新聞夕刊に掲載されている「令和なコトバ」。
ライターの福光恵さんが書いている記事ですが、ここに面白い記事が紹介されていました。
タイトルは「博物館浴ー意外なほどの健康効果」。
「博物館浴」とは、日光浴や森林浴といった、気持ちの良いものを身体全身で浴びるようなイメージの言葉で、「博物館の見学を通じ、博物館の持つ癒し効果を健康増進・疾病防止に活用する活動」のこと。
この言葉を作ったのは、九州産業大学特任教授の緒方泉さんです。
緒方さんの研究によれば、博物館(美術館含む)で時間を過ごすと、高い健康効果がある、ということです。というのも、博物館に10分程度いただけでも、リラックス効果があることが判明したのです。
加えて、例えば美術館で古美術を見た人は、抑うつ・落ち込み、疲労・無気力の数値が下がり、抽象画を見た人は、画期・活力の数値が上がるなど、見た内容で効果が異なることもわかりました。
なお、海外でも博物館と健康に関する研究は盛んで、カナダでは2018年から医療機関の処方箋に「ミュージアム訪問」と書かれることもあり、患者さんへお薬の代わりに何十枚もの博物館の入場券を提供することもあるようです。
また、英ロンドン大学の研究では、文化芸術を鑑賞する機会が多い人と、機会のない人を分けて調べたところ、鑑賞の機会の多い人は機会のない人に比べて、死亡率が優位に低い、という結果も出たとのことです。
自分自身のことを振り返っても、博物館鑑賞にリラックス効果があるのは、納得です。
静かで穏やかな落ち着いた空気が流れ、自身の感情や想いに浸り、時には作品に圧倒されたり、没頭したりして、自分自身を忘れることもできる。
大袈裟ですが禅で言われるところの「無我の境地」とか、最近の言葉では「マインドフルネス」のような効果はあると体験的には感じます。
私自身はこれまでにもこうした健康上の効果を狙って博物館へ行っていたわけではありませんが、こうした研究が進めば、優れた芸術に対してもさらに鑑賞者が増えるかもしれないですね。