人と「友達になる」能力が足りない

親しくなると「印象と違ってクールだね」と言われることが多い。
それは揶揄するように、時に皮肉のように。
そして抗議のように。

オブラートに包まず、「冷たい」とはっきり言われることもあるので、決して褒め言葉として使われているわけでないことだけは確かだ。

浅いつきあいでは、いい人だと言われがち。
それは私が「最大多数の最大幸福」を求めているからだろう。

しかし、時にそのために親しい間柄の人間の感情を切り捨てたり、踏みにじったりすることがある。意図している時とそうでない時があるけれど、「最大多数の最大幸福」が明確に関わっているときは確信犯でそれをやるし、意義を唱えられたところでそれが感情的な訴えだったならば、ばっさり切り捨てるまである。
そのギャップと落胆が冒頭のような言葉を吐き出させるのだろうと思う。

外側の人間でいるうちはいいけれど、内側の人間になった途端、引かれ、嫌われがち。

感情をさらけ出してくれないと線を引かれているように思うとか、腹の底で何を考えているのか分からないから信用できない、と言われても困惑する。
そもそもさらけ出すものがない。

価値基準が違うのだとなかなか伝わらない。
自分も含め、いち個人の気持ちよりも大事だと思っていることがある。優先したいのは理にかなっているかどうかだ。

道理に合っていれば最大多数の最大幸福につながる可能性がより高い。（異論は認める）公正を求め、公平を追求することは自分も含め、個人の感情を優先することよりも大事なことだと割と真剣に思っている。

ただ、この年になるまでに壊滅的な対人関係の失敗を幾度も経験しているので、今はまず情緒的配慮を先に考えるようにはしている。だけど、疲れているときとか急いでいる時のように余裕がないと、未だにそれができなかったりする。関わっている人が多いと頭がこんがらがってしまって、情緒的配慮の結論まで辿り着けないこともある。

そして、これがまた取り返しのつかない軋轢と不信を招く。

あら、こう書くと厨二病を長患いしているみたい。
だけど、覚えがある人はいると思うんだよな……（いるよね？ ね？）

しかし、最大多数の最大幸福を優先するべき、というのは大義があるように見えるかもしれないが、あくまでも個人的な考えのひとつにすぎない。正しいとは思っていない。だから、それに反する他者の考えを否定するものであってはいけないし、当然、自分の考えが優れているわけでもなければ、他者の考えが優れている訳でもない。

なので、自他尊重の体現のために自分が選んだのは、特別な人を極力作らないことだ。だから親友はおろか、友人もいない。知人は多い。ずっと知人のままでいい。そうすれば最大多数の最大幸福を追及しても、顔のあるだれか個人と拗れてしまう可能性は下げられる。

しかし、現実は思ったより上手くいっていないとは思う。友人はいないと言うと、「友人だと思っていたのに、悲しい」という場合があったりする。

だけど、本当に友人になるともっとひどい形で裏切ってしまうからな…そして嫌われると私も悲しいからな……これも確かに一種のハリネズミのジレンマだろう。

この部分だけをピックアップされて、「あなたは自分の感情を守るために人と親密になれないだけ」もしくは、「自分の気持ちを隠して高いところから人を見下したいだけ」と言われてしまうと、たいてい説明する気が失せて「ｿｳﾃﾞｽﾈ」と言ってしまう。視点が主観的で限定的過ぎる。しかし、そういう相手にいくら言葉を尽くしたところで決して分かり合えない絶望を感じる。もう、お互い関わらないぐらいしか平和的な解決手段が思い浮かばない。

そんななので、友達はいないけれど、「私たち友達でも恋人でもないよね」と前提を共有したうえで、何でもざっくばらんに話せる人間関係を３つくらい持っていて、大変救われている。

年齢も性別も、つきあっている年数もばらばら。似たパーソナリティの人もいるけれど、全然違う人もいる。どの人とも一晩でも二晩でも話せるけれど、内容も言葉も遠慮がないし、依存もしない。

ある相手との関係では、私はあまり非建設的なことは言わないが（言うことがないので。そして、こういうところが人に嫌われるのも知っている）、相手はたらたらと長時間愚痴ったりする。

そこで私が「そんな事ここでぐだぐだ言っていたって、現実変わらないだろ。不毛。不満があるならさっさと行動しろ」と切り捨てると、向こうは「こちとら正論なんか求めてないんだよ。だまって聞いとけ。だから人に嫌われるんだ、このくそアンドロイドが！（※OSの意でなく、機械人間という悪口）」ぐらいの勢いで言い返してくる。好き。この人は４つ年上の女性で、仕事がきっかけで知り合って15年以上の付き合いがある。

ちなみに、私は人の愚痴をいつでも疎ましく思っているわけではないことは釈明しておきたい。解決するつもりが全く見えず、目の前で延々堂々巡りを繰り返されるとこう言いたくなるだけだ。

文章にして感情を整理してみたり、言語化することでカタルシスを得るのは大事なことだと思っている。だからnoteで愚痴を書くのはいいことだと思っているし、読みたい人のものだけをこっちが好きで勝手に覗かせてもらっているだけだ。読ませてくれてありがとう。