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ヘーゲル『法の哲学』の関連図書
はじめに
来月、ヘーゲル『法の哲学』(上妻精・佐藤康邦・山田忠彰訳、岩波書店、2021年刊行予定)が岩波文庫で発売されるそうです。
訳者の顔ぶれをみる限り、この邦訳はもともと『ヘーゲル全集9a・9b』(岩波書店、2000-2001年)に収められていたものを底本にしていることがわかります。訳者の上妻精(1930-1997)先生と佐藤康邦(1944-2018)先生の両名はすでにお亡くなりになられておりますので、誤植等を除いて訳文じたいが全集版から修正されているということはおそらく考えにくいと思います。
以下ではヘーゲル『法の哲学』を読むにあたって、初めて読む読者の参考になる関連図書を紹介してみたいと思います。
ヘーゲル『法の哲学』の関連図書
ヘーゲル『法の哲学』の入門書としておすすめするとしたらこの本。
— 荒川幸也│Sakiya ARAKAWA (@hegelschen) December 28, 2020
各章のはじめに男女の対話が載っていて、導入として面白い。(そういえば廣松渉も著書でしばしば対話形式を採用していたなぁ。)
加藤尚武『ヘーゲルの「法」哲学』青土社https://t.co/fgJTOk7mvW
もうあまり手に入らないかもしれないけど、ヘーゲルの立憲君主制についてバランスの良い記述になっていると思うのがこの本。
— 荒川幸也│Sakiya ARAKAWA (@hegelschen) December 28, 2020
S・アヴィネリ『ヘーゲルの近代国家論』高柳良治訳、未來社https://t.co/ZqonR4wcB1
ヘーゲル法哲学講義録も含めてテクスト内在的に読解した専門書としておすすめなのはこれ。
— 荒川幸也│Sakiya ARAKAWA (@hegelschen) December 28, 2020
神山伸弘『ヘーゲル国家学』法政大学出版局https://t.co/ITjClPEyaf
ヘーゲル法哲学に関連して、リーデルの著書はいずれも目を通しておいた方が良いものばかり。M・リーデル『ヘーゲルにおける市民社会と国家』(池田貞夫ほか訳、未來社)等も併せて読まれたい。
— 荒川幸也│Sakiya ARAKAWA (@hegelschen) December 28, 2020
M・リーデル『ヘーゲル法哲学—その成立と構造』清水正徳・山本道雄訳、福村出版https://t.co/MsfKzJ93uC
ヘーゲル法哲学の入門書で最近出たもののなかで比較的読みやすく、内容も丁寧に読み込んであるものはこの本。今回の訳者の一人でもある。
— 荒川幸也│Sakiya ARAKAWA (@hegelschen) December 28, 2020
佐藤康邦『教養のヘーゲル『法の哲学』—国家を哲学するとは何か』三元社https://t.co/Zy8A8tgVq9
ヘーゲル法哲学の現代的な解釈について知りたい場合、一冊でコンパクトにまとまっているのはこの本。
— 荒川幸也│Sakiya ARAKAWA (@hegelschen) December 28, 2020
仲正昌樹『ヘーゲルを超えるヘーゲル』講談社https://t.co/QrozIIzzYs
ヘーゲル法哲学について歴史の観点も踏まえてマニアックな知識を仕入れたい方向け。
— 荒川幸也│Sakiya ARAKAWA (@hegelschen) December 28, 2020
権左武志『ヘーゲルにおける理性・国家・歴史』岩波書店https://t.co/67vhnZvo6X
あとは手前味噌ですが、ヘーゲル法哲学をマルクス『ヘーゲル国法論批判』と併せて読解する場合におすすめなのがこちら。
— 荒川幸也│Sakiya ARAKAWA (@hegelschen) December 28, 2020
荒川幸也「マルクス『ヘーゲル法哲学批判』のメタクリティーク」https://t.co/rlBI4LpR3h
もう一つ「ヘーゲルの権利論」についてはこちらに少しばかり書きましたのでご覧下さい。
— 荒川幸也│Sakiya ARAKAWA (@hegelschen) December 28, 2020
田上孝一編著『権利の哲学入門』社会評論社https://t.co/gAhEWeU0E9
以上、ヘーゲル『法の哲学』の関連図書でした。
もちろん他にも優れた論考はたくさんあるのですが、今回は入門者向けということで割愛しました。もっと詳しく知りたい人は『ヘーゲル哲学研究』(こぶし書房)やその他の個別論文もぜひ参照してみてください。では。
文献
・アヴィネリ, シュロモ 1978『ヘーゲルの近代国家論』高柳良治訳, 未來社.
・ヘーゲル 2000-2001『ヘーゲル全集9a/9b 法の哲学』上妻精・佐藤康邦・山田忠彰訳, 岩波書店.
・ヘーゲル 2021『法の哲学—自然法と国家学の要綱』上妻精・佐藤康邦・山田忠彰訳, 岩波書店.
・リーデル, マンフレッド 1976『ヘーゲル法哲学—その成立と構造』清水正徳・山本道雄訳, 福村出版.
・荒川幸也 2015『マルクス『ヘーゲル法哲学批判』のメタクリティーク』一橋大学大学院社会学研究科, 修士論文.
・加藤尚武 1999『ヘーゲルの「法」哲学』増補新版, 青土社.
・神山伸弘 2016『ヘーゲル国家学』法政大学出版局.
・権左武志 2010『ヘーゲルにおける理性・国家・歴史』岩波書店.
・佐藤康邦 2016『教養のヘーゲル『法の哲学』—国家を哲学するとは何か』三元社.
・田上孝一編著 2017『権利の哲学入門』社会評論社.
・仲正昌樹 2018『ヘーゲルを越えるヘーゲル』講談社.