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Dare#15 「アンダー・ザ・アンブレラ」|Josiah The Giftについて

諸事情で久々の更新になりましたが、今回は、昨年辺りから徐々に露出も増え、密かに話題となっている「The Umbrella Collective」から、MCのJosiah The Giftにフォーカスしたいと思います。

以前の記事で紹介した、Jay Royaleも少し前にこのコレクティヴの一員となったのですが、それから纏まった作品がまだ出ていません・・・。(Tragedyとのセッションもめっちゃ気になるんですけどね)

Josiah含め、他の主要メンバーも現行の潮流の走りから現在にかけて多数のリリースを行っており、今年はアンブレラ来そうだな~という雰囲気もある中で、彼らのムーヴメントに触れる切欠の一つになれば幸いと思います。

アングラなHip Hopが好きな人達は、こういう謎に包まれた怪しい集団に惹かれやすいと昔から相場が決まってますね(笑)アンブレラの詳細はまた時期を改めて別の機会に。

ライターのJOHN君も以前、彼ら(The Umbrella Collective)について取り上げていたので、本記事と併せてどうぞ!

Josiah The Giftのバイオグラフィ

Josiah The Giftは、ニューヨーク州ブルックリン出身のMC。現在は、ニュージャージー/ニューヨークを拠点に活動しています。

Josiah(ジョサイア)は彼の本名で、旧約聖書に登場する、古代イスラエル・ユダ国の王様の名前に由来するそう。Giftは、彼自身がこのカルチャーに対してユニークなものをもたらしているといったところから。

Josiahは、現在「The Board of O.W.N.」というインプリントでのリリースや、ニューヨーク州ヘイバーストローのPro Dillinger、ミシガン州デトロイトのMickey Diamondらを中心に、新たなアンダーグラウンド・ムーヴメントの名の下に結集した「The Umbrella Collective」に所属しており、近年その活動を加速させています。

彼のスタイルは、人生経験の中で得た教訓を長所と短所に切り分け、成長過程の中で鋭い洞察力を磨くことで生み出されたメタファーを武器に、エッジの利いたライム、時にキャッチーでタフなフロウをスピットしています。

また、ブルックリン生まれのMCだけあって、ビートのセレクトもラップスタイルも男臭いブルックリン節をバチバチに感じますね。

Josiahみたいに、バネの様なメリとハリのある抑揚で、ライムをガチガチに置きに行くタイプのラッパーが筆者は超好みです(笑)。

Josiah The Giftの経歴

Josiahが友人とラップを始めたのは12歳の頃。初めてのフリースタイルで使用したインストゥルメンタルは、「Murder Inc.(The Inc.)」"Murderers"だそう。

この頃から、真剣に音楽活動に取り組みたい意思はあったものの、それに対するサポートが一切無い状態で、宙ぶらりんな感じだったようです。

その後は、ニュージャージー州のジャージーショアからメリーランド州に移住し、そこで出会ったミュージシャン達との出会いによって音楽に対する情熱が再燃。

新たなクルーを結成しつつ、Mixtape作品等をドロップしましたが、大きなチャンスに恵まれず、各所転々とし、再度ニュージャージーに戻ります。

そのタイミングで、ニュージャージー州・ニューアークのブリックシティで、「PRIME FACULTY」というクルーを結成し、2005年にクルー名義のMixtapeをドロップします。(作品の詳細は見つからず)

しかし、Josiahは彼自身の人生とアーティストとしてのキャリアの両立に苦心しつつ、再度、ジャージーショアに戻ることとなります。

ジャージーショアでは、ブルックリン出身のK.A.Y.(a.k.a Kerim Klah)というアーティストと出会い、「Prime Faculty/Lonestar ENT」を合弁し、2010年前後にいくつかのMixtapeをリリースしています。(この頃は、"Jo Blak"という名義で活動していました。)

Jo Blakとしての作品は、2000年代後期~2010年前期の時代背景を感じるアッパーなビート中心でしたが、ラップの切れ味は今と変わらず。骨太で一貫性のある彼のスタイルを感じることができます。

Jo Blak名義でリリースした彼のファーストシングル、 「BAD FEELING 」は多方面で話題となり、ケンタッキー州のDJ Danyah、カリフォルニア州のDJ Vinyl Fingers、ノースカロライナ州のDJ Jelyらによってラジオプレイのローテーションにもなっていたようです。(2008年作の「Before I Truthfully Speak」に収録)

当時のパートナーだったK.A.Yは、Hip Hopのみならず、R&Bやレゲエ/ダブ等を取り入れた、ジャンルレスな音楽性の持ち主だったようなので、彼もその時期は少なからず影響を受けているように感じました。(びっくりするぐらいほぼ情報が出てこず、アカウント関連も全て消えていたのでリタイアしたのかもしれないです)

その後のJosiahの足取りは掴めませんでしたが、2019年辺りにはアンブレラへの加入が伺えるタグ付けがあったので、現在に至るまでは、 母体の「The Board of O.W.N.」と「The Umbrella Collective」の両軸で活動を行っているみたいですね。

アンブレラとしてのアルバムも、今年中か来年初頭にはリリースが計画されているそうなので、アングラフリーク諸氏は目が離せないでしょう。

Josiah The Giftのディスコグラフィ

2018年以前の過去作品の情報は疎らになりますが、収集できた範囲でディスコグラフィを紹介します。

これを機に一通り聴きまくりましたが、Mixtape作品もストリート仕様ながらもイケてるし、オリジナルビートの楽曲もそこそこあるので、ある程度昔から制作環境は整っていたようです。是非、過去作も遡って聴いてみて欲しいです。

個人的には、「Blak Magik」「Undivided Attention Vol.2」辺りは、(この時代のHip Hopが好きだから、という私情もコミコミで)ド真ん中で痺れましたね~。

ガチンコ・マイク一本勝負で、超タイトにビートにスピットを叩き込むJosiahのオフェンシヴなラップは、正に彼の尊敬するマイク・タイソンさながらかもしれませんね。

「Before I Truthfully Speak」(2008)
「The Zeitgeist Theory」(2009)
「Blak Magik」(2010)
「Undivided Attention」(2011)
「Undivided Attention Vol.2」(2011)
「THE MANDELBROT SET」(2013)
「While You Wait EP」(2014)
「The Jack Johnson EP」(2018)
「RAW」(2019)
「Iron Mic」(2020)
「Remain RAW 」(2021)
「Mightier Than The Sword」(2022)
「Mightier Than The Sword(Side B)」(2022)

Josiah The Giftの最新作、「Mightier Than The Sword」は、A面・B面の豪華二部仕様になっています。

プロデューサー陣に、Level 13、Chuck Chan、88 blessed、Imperitiv、Word Strategy aka Professor Moriarty、Mallory Knox、Stinky J、MIGHTYHEALTHY、Jamil Honesty、Krazyfingaz、Proffeny、SB 11、Onaje Jordan、Fiqquow、Mosbeats、SSUPERNICE、Clyptobeatz。

客演陣に、Jamil Honesty、Supreme Cerebral、Squeegie-O、Substance810、K-Prez、Ace Cannons、P.U.R.E.、Gnatee Doe、Pro Dillinger、King MICAH the infamousらが名を連ねます。

現行シーンでは見知った面々やアンブレラを中心にゲストも錚々たるもんですが、ソロ曲の割合も多く、彼自慢のラップスキルが十二分に堪能できる力作です。

ダークで重たい作風では無いので、オーセンティックなラップ・アルバムが聴きたいリスナーには是非、おすすめしたい逸品。

コアなディガー'sにはお馴染み、コアいレーベル、Copenhagen CratesからVinylもリリースされましたが、既に絶賛ソールドアウトしています。

本作は事前に、Mickey Diamondから二部構成にするように指南を受けたようですが、彼自身もこの形式に手応えを感じているようで、A面は剣サイド、B面はペンを意味し、音楽からメッセージ性を受け取ることが少ない人たちに、人生に前向きな変化をもたらすインスピレーションを与えたいと語っています。(「ペンは剣よりも強し」そのもののコンセプトだと思います)

また、作品に対するリスナーのアテンション・スパンについても話しており、昨今の消費スピードの速い業界で、時期をずらしてリリースすることで、しっかりと自分の楽曲を"消化"して欲しいという意図もあったそうです。

Josiahは、自分の作品を聴いて、「「新鮮さを感じてくれる」という言葉が最大の賛辞のひとつ」と語っているのが印象的でした。

ニューエイジのブーンバップは、Hip Hopの黄金期と呼ばれた時代をリアルタイムで知らない世代に、先人の築いた過去のレガシーへと導いてくれる"鍵"でもあると思いますしね。

次作には、アンブレラのプロデューサー、Bishopとの共同作品「Lavish Language Volume 1」というフルアルバムも控えているそうです。超楽しみです。

また、彼はコラボしたいアーティストに、DJ PremierとKnxwldegeを挙げており、確かに聴いてみたい組み合わせだと思いました。

話は戻りますが、本作にはStinky Jなる日本人プロデューサーも参加しています。

彼のビートは収録曲の「Big SIAH」で初めて聴かせて頂きましたが、土埃立ちそうなクールでジャジーなワンループが、ブレスの隙も無い勢いで疾走するJosiahのライムと見事に伴走していて最高でした。

Stinky J(Beat Maker/Producer)

Stinky Jは、神奈川を拠点に活動するプロデューサー。国内アーティストへの楽曲提供を中心に、インストゥルメンタル作品等もリリースしているようです。

ソウル、ジャズネタ中心っぽいサンプリング主体のビートは、90年代のN.Yクラシックさながらでありながらも、小綺麗に纏められた上ネタと、時に変調で曇ったドラムや野太いベースを敷くコントラストにイマっぽいセンスが光ります。

今後も、アンブレラのメンツや海外アーティストとの絡みもあるのでしょうか?引き続き、注目の国内プロデューサーの一人になりそうです。

Stinky J氏の手掛けた楽曲はコチラから視聴できます。

最後に、ストリーミングされている楽曲の中から、Josiah The Giftの好みの楽曲をSpotifyでシェアします。この記事で、Josiahや傘ロゴの軍団に興味を持ったリスナーは是非覗いてみてくださいませ。

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Josiah The Gift Bandcampページ
Josiah The Gift Officialサイト

peace LAWD.

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