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Ami 第10章-惑星間フェローシップ②

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円形劇場を後にして、僕たちは上昇し始めました。
すると、明るく速い宇宙船が、僕たちの船と同じように光を変えながらすぐ近くを通り過ぎたのです。
それを見て、アミは楽しそうに笑っていました。
「あの宇宙船には誰が乗っているの?
君の友達?」
「昔行ったことのある世界の、面白くて楽しい人たちです。」
「あの光りの変化は何を意味してたの?」
「友情を示すあいさつです。
彼らは私たちに親切で、私たちも彼らに親切です。」
「どうしてわかるの?」
「感じませんでしたか?」
「うん。感じなかったと思う。」
それはあなたが自分に気を配らないからです。
あの船が近づいてきた時、何か喜びの感覚がありませんでしたか?」
「いや、衝突するんじゃないかと.....。」
「被害妄想さんは、ちょっと変わったことに夢中になっていたのですね。」
と、アミは笑いました。
「ほら、あの船は、私の世界のものなのです。
この船と同じなのですよ。
気づきましたか?」
「そうなんだね!!
で、僕は君の星を知りたいよ!」
「別の機会に連れていってあげましょう。
今日は時間がありません。」
「約束してくれる?」
「本を書いてくれたら、約束します。」
「シリウスの浜辺へも?」
「そこへもですか?」
と宇宙少年は笑いながら言いました。
「あなたは記憶力がいいですね。
それと、地球が大災害に見舞われたときに、救助した人たちを収容するために準備している星にも行きましょう。」
「それは大災害が避けられないってこと?」
「いいえ、しかし、それはあなた方が、友愛的に生きるために、何をするかによるのです。」
「僕たちは地球という1つの国になるべきなんだよね。
オフィルのように。」
「そのほうが良いでしょう。
自分の国を愛することは非常に良いことですが、大げさな地域主義は視界を高みに置くことが出来ません。
ある場所だけへの過度の執着は、他の場所を愛する余地を残さないのです。
宇宙はとても広く、多くの生命や知性が存在し、すべては同じ愛のエネルギーから生まれているのです。
だからこそ、私たちは 大きなスケールで考え、愛さなければならないのです。

「君の言うとおりだね。
僕たちは国境なんか無い場所で生きた方がいいよね。
空気だけを国境にしよう!」
と熱く叫びました。
「それすらありません。
宇宙は自由であり、所有者がいないのです。
友好的でさえあれば、宇宙の何処へ行くに誰の許可も必要ありません

もちろん受け入れる事も同様です。」
「誰でもビザや認可を求めずにここの世界に来れるってこと?」
「もちろん、その人々が友好的であれば、宇宙の他のどの場所にも行けるし、受け入れられるのです。」
「そこの人たちは気にしないの?」
「なぜ気にする必要があるのでしょうか?
みんな友達なのです。
友達を怖がることはないでしょう。」
アミは僕たちの対話を喜んでいる様子でした。
「でも、やっぱり、解らないよ。
こんなに不思議なことを受け入れるのは難しいよね。」
「ペドロ、もう少し説明をしましょう。
進化した世界は普遍的な仲間を形成しています。
非常に異なる外見をしていたとしても、私たちは、みな兄弟であり、友人です。
誰にも危害を加えない限り、自由に行き来することができるのです。
私たちの間に秘密はなく、逆に私たちはすべての知識を共有しています。
私たちの間には競争もなく、協力があり、暴力はなく、平和と友情があるのです。
誰も誰よりも上に立ちたいとも思っていません。
ただ、より良い人間になろうとしているのです。

「いったい何のために?
義務感からなの?親切心から?
それとも天国を手に入れるため?」
「違います
悪、苦悩、危険の代わりに、人生をよりよく楽しむために、善と喜びを受け取るために、より良くなるのです。
私たちは、人が好きなので、私たちを必要としている人たちを助け、協力することがとても嬉しいだけなのです。

アミの考え方と僕の考え方の間には、銀河のような隔たりがあるように思えました。
僕は、人と協力することを教えられこなかったのです。
人と競争すること、人から身を守ること、正直でないこと、人を笑うこと、人に嘘をつき、人をつぶし、自分が優れていることを示し、人を嘲笑の中に置き、必要なら公然と嘘と中傷で恥をかかせること・・・。
そして、僕は他人の悪い行いを恥ずかしく思ったのです。
つまり自分の・・・。
しかし、アミは、僕の違和感を受け止めてくれたました。
「親愛なるペドロ、言っておきますが、私があなたの年齢で、あなたのような後進国に住んでいた時には、今のあなたと同じような欠点があったのです。
だから、あなたが、今、恥ずかしいと思っていることを、私は驚かないし、あなたがそれを克服することも知っています。」

「ありがとう!
それは君たちが聖人だからだよ。
僕たちはそうではないらね。」
僕は、少し冗談めかして言いました。
彼の言葉で安心したからです。
「そうではありません、ペドロ。
私たちは、単に連帯の精神に従っただけなのです。
集団にとって良きことのために、そんな単純なことなのです。
だから私たちの生活は、科学的には大きな進歩があっても、とてもシンプルなものです。
しかし、もし地球の人類が原始人のような考え方や感じ方を克服することができたら、私たちは彼らを助けるために協力し、彼らが宇宙の仲間に溶け込み、私たちの素晴らしい科学的、精神的知識を受け取ることができるようにお手伝いします。
そうすれば、人生はもはや生き残るための厳しい競争ではなく、あなた方全員が喜びに溢れるでしょう。
「アミの言ってることはとても素敵だね。」
「それは真実だからです。
真実は、真実であればあるほど素敵なのです。
あなたが地球に帰って、これについての本を書いたならば、もう1つの声、もう1つの砂粒になるでしょう。
そうして、少しずつ、一粒一粒、あなたの世界は変わっていくのです。」
「それを読めば、誰もが僕を信じて、自分勝手な行動や暴力から離れ、平和に暮らすようになるんだろうね。」
僕はとても納得して言いました。
しかし、アミはまた私の頭を撫でて笑いました。
それが、今回は気にならなかったのです。
なぜなら、僕は、もはや彼を僕のような少年ではなく、僕より優れていて、若く見えるけれど、僕より年上だとはっきり認識出来ていたからです。
「そう簡単にはいきません、ペドロ。
彼らは、まるでどこにでも敵がいるかのように暮らしています。
それは実際にあると言うよりは、想像上のものなのです。
隣人から政治家からETまでもです。
なぜでしょうか。
彼らは眠っていて、醜い悪夢を見て、嘘や幻覚を信じ、人間が人間の敵ではなく、夢を実現するのを助ける存在であることを知らないからです。」
「もし、君のような世界になれたら、なんて美しい世界になるんだろうね、アミ。」
「宇宙の優れた現実は美しいのです。
花で覆われた草原を、あなたは醜いと思いますか?」
「もちろん素敵だよ。花だもんね。」
「 でも、あなたの世界には、とても 知的な人がいて、もし花を作るとしたら、花びらの代わりに弾丸を乗せたり、茎の代わりに非人間的で厳格な法律を作ったりするでしょう。」
「彼らは、僕の本に書いてあることを信じないってこと?」
「ペドロ、あなたは覚悟を決めなければなりません。
恐ろしいことだけが真実で、美しい可能性は幻想やファンタジー、愚かな夢に過ぎないと考える人たちがいるのです。
彼らは、闇は光であり、光は闇であることが『本当の真実』だと考えています。
なぜなら、『現実は厳しすぎる』…と彼らはいつも言うのです。
そういう人たちは、あなたの本には興味を示さないでしょう。
その上、それを嫌って、あなたのことをあまりよく思わないでしょう…。
しかし、宇宙と人生を肯定的かつ健全な目で見ることができる、多くの人たちもいます。
その人たちは、人生の優れた現実が美しく平和であると直感で感じているのです。
だから、彼らは、あなたを信じるでしょう。

そして、彼らは、あなたを通じて届くメッセージを広めることに貢献するでしょう。
これはプロセスの一部です。
私たちはその手助けをするのです。
なぜなら、誰かが自分の内面や心のネガティブな要因を克服するたびに、その人の世界もまた改善されるのですから。
『内なるものは外なるもの』ということです。」
「アミ、良く解ったよ。
より良い世界にするために、僕が良くなればいいんだね。
だから僕が700レベル以上あるかどうか教えてくれない?」
すると、何故だか判らないけど、彼は笑い、それから付け加えました。
「私はあなたに言いました。
皆のために何かをする人は、高いレベルを持っています。
そして、出来るのに何もしない人、無関心な人、連帯感のない人は、高いレベルには達する事が出来ないのです。」
「ああ...じゃあ、家に帰ったらすぐに、その本を書き始めるよ。」
僕は少し怖くなってきたのです。
そして、アミは、また僕に笑いかけましたが、またしても理由がわかりませんでした。


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