Industry2.5 リジェネラティブによるアーツアンドインダストリー
リジェネラティブによるアーツアンドインダストリー
GEIJUTZEはアティチュード。
創造のプロセスは、必ずしもテクニックや、コンセプトありきで始まるわけじゃない。プロダクト(材料)から始めてもいいんだ。
Industry 2.5ー
アーツアンドインダストリーは、伝統工芸ではなく産業工芸
アーツアンドインダストリーの工業系工芸に通底するテーマは、〝アッサンブラージュ〟という構成的概念です。〝アッサンブラージュ〟とは寄せ集めることと、そして不完全な断片であるということを意味します。様々なところから集めた断片を統合して、一次元超えた新たな断片を作り出す姿勢を意味します。
Industry 2.5で展開されているアーツアンドインダストリーは、大量生産によるポピュラー製品でも匠の技による一品ものの工芸作品でもない、流通工芸としてアートとコモデティの融合をテーマに無名のデザインアートの可能性を示し続けます。必ずしも商品化することだけでなく、あらゆる再資源を利用した生産活動や、そのきっかけをつくる社会的活動や取り組みは(リジェネラティブリユース)と呼ばれリバース・アッサンブルによる、リサイクルやリユースと同様、廃棄物を再利用して循環させます。
アーツアンドインダストリーの領域でリジェネラティブな再利用する割合を高め環境問題に寄与する。社会的なサステイナビリティと環境的なサステイナビリティの一石二鳥を狙い、その地区や都市の経済活動につなげていこうというプロジェクトなのです。
事業内容は廃屋や廃家具、廃家電製品,,社会的に排除された高齢者・障害者・女性・難民に就業に機会と自立のための所得をもたらし、損なわれた人間性を回復するユニークな試みです。
インダストリー2.5は、「芸術」であるための「芸術」ではなく、「芸術」を戦略的に用いて社会に介入し影響を与えていく芸術社会的介入だと言えます。GEIJUTZEは社会に巣食う停滞した価値観や、抑圧的なシステムの転覆や撩乱を企てる「革命」なのです。それは単なる政治革命ではなく、人間の無意識や文化に働きかける〈詩のような爆弾〉とも言えます。われわれは、「芸術」をスタティックな、シンボル的な、モニュメンタルな造形物として捉えるのをやめ、人間の動的なアクションのなかで考えます。GEIJUTZEは、意識上で散文的な日常性から、自分を切り離し、「虚構」の時空を組織するために、高度に緊張を高める。それは美術、文学、演劇などの領域だけではなく、経済社会の世界にも共通する形式原理であり、ごく普通の生活に溢れるコモディティやインスタレーションやパフォーマンス・アートのような物質的な作品を残さないアクションも、それが日常から切り離された時空を組織するものであるかぎり、作品は「虚構」の形式の中にあると言えます。
オルタナティブなGEIJUTZEは、戦争に代わる持続的な芸術的行為として社会に介入する。だが、国家とは争わない、衝突しない、対決しない。そして、GEIJUTZEのアクティビティは、国家や行政の助成は得ず、距離を置き、独立した自己表現と表現の自由を堅守します。GEIJUTZEは原初的で自然発生的なモーレス(習律)である。そして、GEIJUTZEは国家や法よりも信頼できる。これは、特定の世界観の下で、あらゆる利害関心を満足させる「正しい」方法であり、つねに「真」なのです。
リジェネラティブによるアーツアンドインダストリー。芸術を決定するのがメカニクスやテクニック ではなく、材料「プロダクト」であってもいい
インダストリー4.0のAI未来社会は、自動化と人や機械の接続が進み、人手不足の解決策として期待されていますが、アーツアンドインダストリーでは、インターネットやコンピュータデジタルによる部分的な自動化から、完全自動化を目指すのではなく、手動でできる事は手動で行う手工業産業の再構築を図っていきます。インダストリー4.0へのアプローチは、一つの可能性に過ぎず、この国の科学や技術の限界、複雑な日本語文化体系により多発する様々な矛盾や地震列島の日本に起きる自然災害など現実はそんなに単純ではありません。インダストリー4.0の未来絵は、その前提にユークリッド幾何の真っ白な平面が存在しなければ、高度デジタルによるアーキテクチャーは成立しないのです。
リジェネラティブのアーツアンドインダストリーとは、「持続可能性(サステナビリティ)」「人間中心」「回復力」の要素を加えた芸術革命であり、さらにIoTやAIなどのデジタル革新のもう一方においては、手仕事手工芸のプリミティブなアナログ革新によって、社会のありようがインタラクティブな変化を呼び起こし、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)をパラレルに融合させたハイブリッドなシステムが、経済発展と社会的課題の解決を両立させます。
アーツアンドインダストリーの提唱するリジェネラティブには、「古いもの」、「傷のついたもの」、「壊れたもの」にこそ、偶然性、即興性、意外性といった要素が常につきまとう。決して過度な技巧に走らず、廃材や不用な部品など、手元の資源をどう再生するかを考える。アカデミーの論理空間でのレトリックではなく、具体的にスラッカーたちが回収した廃品や廃家電を、プリミティブなアップサイクルに転用していきます。現代デザインアートには、西欧の伝統的な美意識には黄金比に起源するプロポーションの観念があり、それは反面、階調であるがゆえに退屈で魅力を感じない。むしろプロポーションが少し乱れたり、歪んだり、傾いたりしているところにこそ、本当の美がある。という積極的なアプローチを展開していきます。
「小工」と呼ばれる工業系工芸家たちの手によって形象されるインダストリー2.5の工業系手工芸プロダクツは決して現代アートの領域ではなく、過度な技巧やアート性を廃し、プリミティブで誰もが自由に参加できるアーツアンドインダストリーが展開されていく。日本という国のオルタナティブのインダストリーは、現在のインターネットやコンピュータデジタルによる部分的な自動化から、完全自動化を目指すのではなく、手動でできる事は手動で行う。電気とインターネットの間のインダストリー2.5ーインダストリーアンドクラフツに立ち戻るべきなのです。