新米班長いとう君 第七話 「なんでExcelなの?」
あらすじ
昨日の彼女の講義を元に、再度社内生産会議での提案を実施します。 そして、再度彼女に作成したガントチャートを見て貰いながら、問題点を指摘されます。
#7 「なんでExcelなの?」
今日は出社してから、昨日の彼女の講義を思い出しながら、月次の社内生産会議の先月の実績と今月の予定の資料を作りながら、生産管理や進捗管理を具体的にシステム化したいのですが。
といった、先ずは、生産統括課内でシステム化の検討を開始しても良いですかの承認を得ようと思っています。
実績、予定の説明が終わった段階で、鈴木課長から、
鈴木さん
いとう君、なんか準備していただろう。話したいことがあれば、どうぞ。
いとう
はい、有り難うございます。
現在みなさんに見て頂いている計画表ですが、部署やマイルストンの日程が記載されているだけで、計画と実績の日付はあるのですが、どれだけ遅れているのか、進んでいるのか、納期余裕はあるのか。
なかなか全体を俯瞰できないと思いますので、ガントチャート型式で表現し、時間軸上に進捗状態も明示出来るようにしたいと思っています。
ネットから拾ってきた、ガントチャートのイメージを見せながら、
これから実際のデータでサンプルを作成し、みなさんに確認して頂き、評価して貰い、進捗の見える化や進捗管理が出来るようにカイゼンしていきたいと思っていますので、ご協力をお願いします。
佐藤さん
いいんじゃないか
色々試せば良いんだよ。
挫折しないように、頑張れよ。
と、佐藤課長に言われ、他の課長達も頷いています。
鈴木さん
いとう君、では、よろしく頼むよ。
ということで、社内の根回しは終了です。
取り敢えず、時間を見つけて、ネットで見つけたガントチャートのサンプルを参考に、一ヶ月分ぐらいの計画を表現しようと思います。
今日は、何事も無くこの分だと定時で上がれそうです。
どうしても、今日も彼女に会いたくて、電話してみました。
いとう
もしもし、今日も早く上がれそうなんだけど、話を聞いてくれるかな~
あはは
って今日も笑われましたが、いい兆しです。
齊藤さん
いいよー、今日はデートって言わないんだね。
いとう
そうなんだよ。
昨日の話から具体的に社内でシステム化しようと今日提案したら、やってみろってことになって。
また、力になって!
齊藤さん
了解!
いとう
じゃあ、食事できる所予約しておく~。決まったら電話するよ!
齊藤さん
はい
昨日は和食だったので、今日は奮発してワインの呑めるお店を予約します。
齊藤さん
ごめんねー、遅くなって。なんか高そうなお店だね。
いとう
いや、大丈夫だよ、今日は、ごちそうするよ。今ここに有るものと後はこれとこれを頼んだよ、飲み物は?
齊藤さん
じゃ、今日は仕事のお手伝いということで、ごちそうにになります。
と言うことで、飲みながら、早速、今日調べて作成したガントチャートを見て貰います。
いとう
一応、向け先とか機密情報は消してきたし、まあまだサンプルなので、こんな感じでガントチャートにして、進捗管理をしていこうかと思っているんだけど、どうかな。
齊藤さん
あー、そういうことか。
そもそもなんで、ガントチャートなの?
いとう
進捗管理は、ガントチャートでって、ネットで調べて。
齊藤さん
うーん…いわゆるオーダー別ガントチャートね。
これ、元はExcelで書いた?
いとう
もちろん!
齊藤さん
で、これを作るのに、どのぐらいの時間が掛かるの?
いとう
まあ、マスをハッチングしたり、色を変えたり、会社で1時間ぐらいかな。
齊藤さん
で、これで、どこかの工程が遅れたら、どうするの?
いとう
まあ、マスを移動したりして、書き直すんだよ。
齊藤さん
そうだよね。
うーん、ちょっと残念だけど、まあ、私の話を聞いて、質問にも答えてね。
いとう
はい、そのために来たので、何を言われても怒らないので、お願いします。
齊藤さん
そう、素直だね。
先ず、最初の質問です。
先ずは、何をしたいのか?
いとう
え
システム化したいので、先ずはガントチャートを作成して
って、うーん
齊藤さん
何をシステム化したいの?
いとう
あ、そうか
工程管理をするのが目的です。
齊藤さん
そうだよね。
なんで、Excelでガントチャートを書いたの?
いとう
色々と、Web上で調べました。
Excelでガントチャートを作成するやり方とか、
結構、事例がいっぱいあって。
齊藤さん
そうだよね。
でも、計画表やガントチャートを書くのが目的では無いでしょう。
工程管理したいんだよね。
つまり、進捗の見える化や計画のコントロールをしたいんだよね。
Excelで書いたのが悪いわけじゃないんだけど。
Excelを方眼紙と勘違いして、グラフを書いてしまうのは、どこで始まったか知らないけれど、日本人の悲しい XX なのよ。
しかも、セルを塗りつぶしたり、ムダな時間を割いているの。
例えば、工事日程など、お客様に日程を説明するときや、協力会社に作業を依頼するときには、一度書けばいいので、Excelで書いても良いんだけど。
昨日までの話では、毎日日程が遅れたり進んだりするんでしょ。
その状況で進捗の塗り潰しだけでは無く、計画の日程を移動したりするんでしょ。
量産工場の様に、月間予定表があって、進捗の塗り潰しだけを行っていれば良いのならまだしも。
毎日計画が変わるつど、このExcelを書き直すのたいへんじゃない?
いとう
まあ、たいへんだけど、私の仕事なんで。
齊藤さん
そうか
なんどもいうけど、計画表やガントチャートを書くのが目的では無いでしょう。
いとう
そうです
進捗管理とか工程管理をするのが目的って
うーん
じゃあどうしたらいいんだろう。
齊藤さん
じゃあ
Excelで書いたガントチャートの問題を教えて上げるね。
ガントチャートでは、作業工程間の制約として、先行工程が終了したら後続工程が開始できるとかの工程間の制約があるんだけど、
Excelで書いてしまうと、先行工程が遅れたら、後続工程も日程の移動をしなければならなくなり、作業工程間の制約が守れない場合のチェックとかたいへんでしょ!
あと、さっき見せて貰ったガントチャートは、オーダーや製番に着目したガントチャートだよね。
オーダー別ガントチャートとかプロジェクトガントチャートって呼ぶんだけど。
プロジェクト管理ツールでのガントチャートもだいたいこの形式で表現しているものが多いんだけどね。
でも、現場の作業者は、今日の仕事の順番を見たいよね。
自分の職場の投入順の確認をしたいので、このオーダー別ガントチャートでは、このなかから自分の該当する作業を見つけて下さい。ってことだよね。
まあ、マクロを駆使して色々出来るんだけどね。
それに、この見せて貰ったガントチャートには、制約が何もないよね。
納期余裕とか負荷の競合とか、そもそもオーダーには、優先順位があるでしょ。向け先なのか、儲かる仕事なのかとかの基準でね。
まあ、食べながら、ゆっくりと工程管理とかプロジェクト管理とかの入門編の話をしてあげるね。
いとう
助かります。