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銀座「ラサマレーシア」でフィッシュヘッドカレーについて考える


 マレーシア料理の名店「ラサマレーシア」。銀座で少々壁の高さをひたひたと感じながら初めて行ってみました。本日の目的は「フィッシュヘッドカレー」と「ニョニャチキンカレー」。
 実は、ナツメ社「カレー・バイブル」に、ラサマレーシアさんレシピが3点載っています。
・マラッカ風ニョニャチキンカレー
・フィッシュヘッドカレー
・ビーフレンダン

 ニョニャチキンカレーについては、レシピ参考にさせてもらって先日自分でも作ってみました。いやあ、悲しくなるくらい自分のものとは違いましたね💦。こちらについては改めて。

1.ラサマレーシアのフィッシュヘッドカレー

 さて、本日のお目当ては「フィッシュヘッドカレー」です。

 ニョニャチキンカレーよりは幾分チリの辛さが響いて来ましたが、ココナッツミルクのまろやかさがすぐにそれを抑えてくれるようです。残る余韻は「魚の旨味」。魚の臭みは感じられず、魚の頭の随所をほじくりながら、塊を探し出し、いつのまにかきれいに平らげています。
 野菜は、なす、キャベツ、オクラ。どれもがカレーの旨味が染み込んでいます。そして油揚げ。油揚げが結構あいますね。正直なところレシピ見なければ、それぞれのスパイス・ハーブは正しくはわからないのでしょうが、ともあれ南国の豊かなスパイス風味は濃厚に感じられます。これが「マレーシアカレー」なのでしょう。(レモングラス、バイマックルー(こぶみかん)、パンダンリーフ。

2.東南アジアのフィッシュヘッドカレー

 いろんなところでフィッシュヘッドカレーについて調べると、「当時捨てられていた魚の頭の有効活用として、カレーに入れてみたら大当たり!。魚の頭という中国文化とカレーのインド文化の融合」ということです。1940年ー50年の頃のお話。発祥としてはどこもが「シンガポール」と紹介されているのですが、マレーシアにもフィッシュヘッドカレーはよくあるようで、マレーシアはシンガポール発祥を認めているのかよくわかりません。例えばバクテーとか他の料理でも「発祥地論争」が多々あって、外から見ると非常におもしろいです💦。

 シンガポールで有名なフィッシュヘッドカレーの店は、御三家みたいに、「The Banana Leaf Apolo」「MUTHU'S CURRY」「Samy's Curry」。でも、これらすべて、量的にとてもひとりでは手に負えない(実は価格的にも💦)のが難点です。ラサマレーシアではしっかりと一人前で提供してくれるのに!

 そもそも、フィッシュヘッドカレーの発端は「捨てられていた魚の頭の活用」でした。それが、シンガポールの経済発展と共に、徐々に「高級料理」になっていく。それはそれで、一つの典型事例なのでしょうが、一方で、懐の深いシンガポールです。探せば「伝統」を守るような店もあるはずです。
 例えばバクテー。バクテーは定説ではマレーシアのKLANGが発祥で、漢方の黒っぽいスープの料理(福建式)が、シンガポールでは胡椒を利かせた白っぽいスープの「洗練」された料理(潮州式)が一般となっています。非常にわかりやすく対比的。
 それでもシンガポールでも、福建式の「伝統」を守る店がMAXWELL FOOD CENTREにあります。南京街肉骨茶。9月にはぜひ行ってみたいです。フィッシュヘッドカレーの店ももちろん。

 ちなみにラサマレーシアでは、銀座という立地からも当然なのでしょうが、「洗練の味」です。これは「シンガポールスタイルの踏襲なのか?」という愚問に、「シェフがKL出身で、あくまでもマレーシアの味にこだわっている」ということでした。そうですね、KLも大都会です。そんな「地域性」をできるだけ、廻って、見てみたいのです。

 もう一つ。たぶんどこも同じような「物語」があるのでしょうが、「Samy's Curry」 の物語は、胸が熱くなってきます。


 レストランビジネスの新規開拓の苦労と、3代に亘り維持発展させてきたファミリーの家族愛と信念に溢れたプライド。こういう一つ一つがしっかりとシンガポールの歴史に刻まれているのでしょうね。マレーシアはこの種の「アピール」には全体的に弱そうに見えてしかたがないのですが、ぜひとも「見つけて」いきたいとも思います。







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