(レストランを通して)シンガポールを「吸収する」
カヤトースト
シンガポールの朝食として定番中の定番でも、まだまだ日本人にはあまり馴染みがないのかもしれません。旅行等で接しても、相当インパクトがない限り、日本に戻って時間の経過で流れてしまう。(実は私がそうです)。なにしろトーストのカヤジャムもコピも甘いし。
ともあれ丸の内のヤクンカヤトースト。
日本で遭遇できる数少ない1軒です。何といっても本場シンガポール超有名店の直営。(一時は3軒あったのですが、残念ながら丸の内店1軒になってしまいました・・)
前稿でも触れましたが、私個人は甘いコーヒーはなかなか受け付けないのですが、それでもこのカヤトーストと甘いコピの組み合わせは気になって仕方がありません。
何ゆえに気になるのか?
やっぱり、ここに、「シンガポール」が凝縮されているような気がするからだと思います。
ヤクンカヤトーストは、1944年創業。創業者のロイ・アクンは海南島出身。
海南島出身の華人は、福建、潮州の他の華人に比べ、移住のタイミングが遅れ、自分の地場を築くのに大変であったと聞きます。歴史的な経緯の中で、労働者の人々にも好まれるような食べ物を頑張って考案して、喜ばれていく。一歩一歩ビジネスが安定していく。そしてシンガポールという国自体も、成長に転換していく。
この歴史に重ねてみると、結構「甘いコピ」も必然であったのか、とも思えてくるのです。(バクテーも類似の位置付けでしょうか)
それぞれの国の、代表選手といえるような有名な料理には、必ず歴史的な「物語」があります。そして「食」が人間にとっての根幹である以上、その物語は、その国が凝縮されたものだと思うのですよ。外国の本場の料理に接して、その国に関心を持つ。いえいえもっと深くその文化を「吸収する」。
そんな楽しみ方は如何でしょうか。