mogaku
「もがいてるなぁ」
高校時代の同級生に言われた言葉が一週間経った今も
頭の中で泳いでいる。
「もがいてる」
彼の目には、私はもがいているように見えるらしい。
大学を卒業し、同世代の殆どは会社員になった。
けれど、彼は俳優という夢を追い舞台稽古に励み、
私は漠然とした理想の自分を追い求め、
こうして毎日文章を書きながらアルバイトをしている。
――― 文章を書く仕事がしたいわけ?
彼にそう聞かれ、私はすぐに答えられなかった。
文章を書くことは好きだ。読むのも好き。
けれど、子どもの頃から本ばかり読んでいた訳でもない上に、
文章を書き始めたのは二年ほど前。
物書きになりたい!と、胸をはって宣言するほど実力がない。
そもそも、文章を書きたいという気持ちよりも、
世の中に自分の思いを発信したい。
人の心を動かしたい。
その手段として文章を書くことを始めた。
23歳。
まだ若いじゃないかと言われるが、
同世代でもどんどん活躍している人が出てきている。
こんな毎日を送っている間に、どんどん歳をとっていくのが怖い。
新卒で入社した会社を辞め、道しるべの無い道を
だらだらと歩いている毎日。
歩いているが進んでいない。
このままじゃいけない。
自分はどうすればいいのか。
何がしたいのか。
何をすればいいのか。
「行動しなければ何も始まらない」
そんなことわかっている。
分かっているのに、踏み出していない自分。
失うものは何も無いのに。
そんな私の心情は、なぜか彼に見透かされていた。
「もがいてるなぁ」
彼の言葉が刺さる。
そして続けて彼は言う。
「もがいてもいいことないよ、焦ったって無駄」
「目の前の事をこつこつやっていくのが一番の近道」
どこかで聞いたことのあるような
ありきたりな言葉なのに、
今の自分にはすごく心に響いた。
私は今、もがいている。
そんな自分を受け入れて、焦ることを止め、
出来ることを一つ一つこなす。
自分の歩む道の先が見えないなら、
自分で道を作ってしまえばいい。
簡単なことではないけれど、
そうしようと思う。
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