Base Ball Bear 全曲紹介・感想・解説 13曲目 April Mirage
禁酒3日目です。ケンイトウです。
それでは本日もいってみましょう。
今回は13曲目『April Mirage』です。
直訳すると「四月の幻影」とかですかね。
アルバム『HIGH COLOR TIMES』の2曲目に収録されている曲ですが、
初出は『Bacon』とのスプリットシングル『B Beginning!!』から。
そのまんま「B」つながりの企画シングルです。
『Bacon』ってまだ活動していたのですね・・・
リリース空きすぎて別の同名バンドかと思った・・・
【曲・歌詞について】
ザ・『HIGH COLOR TIMES』期のバンドサウンドの曲です。
だいぶバンドの方向性が固まってきた時期なのかなぁと。
コード感、文学的歌詞、リードフレーズ。
特に湯浅のリードギターってこの音だよね~って曲。
なんとなく雰囲気は『SAYONARA NOSTARGIA』の系譜を受けつつ、
アップデートしてる印象。(演奏とか構成は全然違うけどなんとなく)
小出氏の歌もだいぶ「艶っぽい」というか「色っぽい」というか。
このあたりから声質を分かって歌入れしてるような気がします。
(この時期はキーが高い曲が多いので、当時の自分は頭おかしい的なことを後に言うてましたが)
それでは歌詞
気が付けばいつの間にか 薄れてくノスタルジア
街の中に射す赤に重ねたら切り無い思い出
『夕方ジェネレーション』期に歌っていた「思い出」が「過去」のものになってます。
『SAYONARA NOSTARGIA』で歌った「喪失感」も薄れ、
すべてだった「夕方感」は切り無いことだと。
小出氏のモードが移行してきたのがわかる歌詞だなと。
スカートいと短し ボタン上2つ外し
良い香りの誰かの部屋で 君の顔、目の前で見た事件
ここで「いと短し」と持ってくるセンス。
水色こぼした画面 ウィスキーのような色に
君と俺の3Dが 映写機で映すおぼつかない学生映画に
この描写もですが、これまでは「君」と「俺」という一対一の関係、自分の中の「思い出」を、「学生映画」っていう「作品」として見てるんですよね。
愛してるって言いたい気持ちと殺気が溢れる街角
透けた君が体を通り抜け彼方に溶ける
何も知らないふりをして笑ってた俺は確かに居た
笑い方を忘れた今は騒々に身を任すだけ
「デス」と「ラブ」。ベボベのテーマワード。
愛憎だったり「二律背反」的な感覚は歌詞によく出てきます。
雨が降り出しそうな気配、わかる?
試すように聞いた 一枚羽織った日曜日
もうすぐ降るよ
顔を洗う三毛猫見て悪戯っぽく含み笑ってる、君が居た
Cメロの歌詞ですが、ここのコード感と詞世界がすごくマッチしてるんですね。
まさしく「Mirage」というか。
コードチェンジの隙間に落として拾い損ねた写真
手にした分だけで描く脚本は、拍手が起こらない一人芝居
「写真」=「思い出」ということですかね、「コードチェンジ」は日々の生活とかけてるのかな。
「思い出」も徐々に薄れていって、再現できることはもはや自分の感覚でしか演じることのできない「一人芝居」だと。
愛してるって言いたい気持ちと殺気が溢れる街角
透けた君が体を通り抜け彼方に溶ける
何も知らないふりして笑ってた俺は確かに居た
笑い方を忘れた今は騒々に身を任すだけ
それだけの事だから
『SAYONARA NOSTARGIA』では最後に「普通がいいや」と歌い、
今回は「それだけの事だから」と歌う。
なるほど、だいぶ洗練されてますもんね。
無駄な歌詞がないというか。初稿見てみたいわ。
【まとめ】
だいぶ儚さというか、曲に渋みが出てきました。
これまでの曲もですが、改めて歌詞見ながら聴くと色々発見がありますね。
それでは次回は『TRAGIC HEROINE』です。
駄文ですが読んでいただいてる方もいらっしゃるみたいでありがたい話です。。引き続きどうぞ。