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還暦父の隠しごと

たまにあれは夢だったのかな?とふと思い返す事がある。
今から12年ほど前、自宅の電話が鳴った。父の愛人からの電話だった。
母が出る、長い沈黙の後深いため息をついた。
母は父の愛人の存在は知っていたのだが、なんとなく深刻な話のような感じがした。当時の父は還暦を過ぎており、愛人は五歳程年上だった。
母がうろたえながらお父さん!
愛人の息子の嫁が妊娠した。どうやらそのお腹の子供の父親が、私の父だというのだ。
私は別の部屋でその会話に聞き耳をたてた。そして、2人は慌てて家を出ていった。
その日から10年ぐらいたとうとした頃、母がその時の話をしだすようになった。
その日2人で愛人宅を訪れると。
愛人、息子、息子の嫁がいた。
母が父に問いただす。本当にそんなことをしたのか。事実であれば責任をとりますと言った。
しかし、その場で父は酔ってて覚えていないし、俺は次女が産まれた後風疹にかかってその後1度も妊娠させた事がない!俺の子供じゃないと言いはったらしい。
その言い訳にあきれるが、母には信憑性があるように感じたようだ。
人の嫁に手を出しておいてと愛人の息子が父に言う。
それを聞いて母は、既婚者と知ってて近づいたのはそっちでしょうと修羅場になったらしい子供が産まれたらDNA鑑定をする事を話したが何年たってもそこから連絡はなく、結局妊娠も嘘だったことが発覚した。
愛人、愛人の息子、愛人の息子の嫁。
お母さんよくその場を乗り越えたなとおもう。

今でもこの話は夢だったのかなと思う時がある。

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