私の母は三年前に自死した。 ただ骨折で入院しただけだったのに、退院した時にはコロナの感染に異常なまでに脅え退院から3日後の事だった… 詳しく話すと長くなるのと未だに私の気持ちの整理がつかない。 母がいなくなってからの父は本当に廃人のようだった。 目の輝きが消え、酒におぼれているように見えた。 母の死から1年すぎた頃、父が九州の温泉街へひとり旅で2泊してくると連絡があった。 親類がいる街なので、それほど心配もせずに私は見送った。 3日後、帰宅した父は何だかいきいきとしていた。
たまにあれは夢だったのかな?とふと思い返す事がある。 今から12年ほど前、自宅の電話が鳴った。父の愛人からの電話だった。 母が出る、長い沈黙の後深いため息をついた。 母は父の愛人の存在は知っていたのだが、なんとなく深刻な話のような感じがした。当時の父は還暦を過ぎており、愛人は五歳程年上だった。 母がうろたえながらお父さん! 愛人の息子の嫁が妊娠した。どうやらそのお腹の子供の父親が、私の父だというのだ。 私は別の部屋でその会話に聞き耳をたてた。そして、2人は慌てて家を出ていった