14.好きな画家と作品(グスタフ·クリムト)
若い頃、クリムトの絵はあまり好きでは無かった。美しく、豪華絢爛、綺羅びやかな絵は、とても眼を惹くのだが、好きとは言えなかった。当時の私は、クリムトの作品では、【パラス·アテナ】や【黄金の騎士】等、渋めの作品が好きだった。
象徴主義と言われる、クリムトの絵画の特徴は、豪華絢爛と併せて、妖艶で幻想的なエロスが描かれています。このクリムトの描く、退廃的で何より甘美なエロス、また象徴的な死の描写に対して、まだ年若く世界を真っ直ぐにだけ見ようとしていた私は、反撥したのだと思います。
同じ様に、退廃的なエロスを描くエゴン·シーレの作品にも、若い事は拒否反応がありました。
時と共に、私自身、様々な人生経験をする中、クリムトやシーレが描く女性、退廃美や異形の美、そしてファム·ファタールにも、強く惹かれる様になりました。そして、今は、クリムトの絵、美に傾倒する様になってます。
余談ですが、映画【ファム·ファタール】の映画CMやストーリー序盤のレベッカ·ローミンの妖しく甘美な姿。エメラルドの眼を持つ、金の蛇のブレスレットを身に着けた彼女は、正にファム·ファタールでした。中盤からは、魔性の女性感が無くなったのは、少し残念でした。