祖父母と過ごした冬の思い出
私は冬が大好きだ。
冬の朝のツンと澄んだ空気が好き。他の季節じゃ決して感じられない絹みたいな空気。その中を切って歩くのは、何だか生きてるって感じがする。
外の寒さと対照的な屋内の暖かさも好き。心までホッと温まるような気がする。やっと入ったコンビニで「、、あったか〜〜!!」って文明に感謝するあの瞬間も好き。おでんの優しい匂いまでついてきて一石二鳥。
暖かい屋内といえば小学生の冬休みを思い出す。朝方、祖父母の家に赴いて玄関を開ける。廊下は外と変わらないほど重く冷たい空気が張り詰めているけれど、祖父母のいる居間の扉を開けたその瞬間、暖かく優しい空間が私を包んでくれる。早朝からストーブが付けられ充分過ぎるほど温まった室内、響くテレビの音、安心するいつもの匂い、私を見た瞬間に優しい笑顔を見せる祖父母。とたんに何だかホッとして、大きなコタツに滑り込む。ゆったりとした時間の中、3人そろってぬくぬく温まりながら朝のテレビを見る。ストーブの上には必ずアルミホイルに包まれたサツマイモがあった。毎度「もう少しで食べられるよ」なんて言われて我慢してたっけ。
もちろん一度扉を開けて廊下に出てしまえば極寒の世界に様変わりするのだが、私はなんだかその対照的な感じが好きだった。
というのも私は部屋に入った時に「あったか〜い………」って無心でウットリするあの瞬間が好きで、外部が寒ければ寒いほど、そのウットリ度合いが大きくなるように思うのだ。だから私は、廊下の寒さも含めた全部が好きだった。
祖父母と過ごした冬。本当に全部が大好きだった。もう戻らないけれど、大事な大事な思い出。
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