2024年11月8日 回らない寿司
今日は出張だった。
出張のときは、できるだけ出張先の近くの店で食べると決めていた。
最初はカレー屋さんに行こうと思っていたけど、仕事が終わったあとカレーの気分になれなくて、別の店にした。
回らない寿司の店。
ランチ価格が1500円以下で、職人さんの握り寿司が食べられるのがよい。外にもお品書きがあって良心的。地元の人向けのお店なのもなんだか良さげだったので、入った。
平日の昼間で、遅めの時間だったけど、お客さんが二組いた。わたしが入ってすぐに、店近くの会社の人が何やら注文に来ていた。地元の店だな。
カウンターに案内されたので座る。目の前にはいけすと、ネタケースがあった。背後には木製の年季の入ったテーブル席と、さらにでかいいけすがある。カウンターの向こうには職人さんが二、三人いる。温かいお茶の湯飲みはめちゃくちゃでかい。昔ながらのお寿司屋さん。そして座ってから気づく。
ここマジのガチ寿司屋じゃん。
小さい頃に父や母と回らない寿司屋に入ったことはある。けど大人になってからはないんじゃないのか。ましてや一人。ランチとは言えど、一人で回らない寿司屋に来てしまった。すごいな人生って。いつ何が起きるかわからないんだね。
(※実際にはテレビとか流れてたし、魚のカレンダーとか注文票とか貼ってあったりして、割とアットホームというか、寿司屋+祖父母の家みたいな感じだった。)
一度その事実に気がつくと、自分の立ち居振る舞いが正しいのか間違っているのか、一挙手一投足に緊張が走る。のんきにスマホいじってたけど、スマホ触りながら食べてたら職人に掻っ捌かれてしまうのでは‥‥?と思い、スマホを裏返してテーブルに置いたが、なんかの漫画でテーブルの上にスマホ置くのはマナー違反とか見た気がするなと思い、そそくさとカバンの中にしまった。
なんとなく落ち着かない気持ちで待っていると、職人さんがカウンター上段にお寿司をぽんと置いてくれた。下駄の上に綺麗に整列するお寿司たち。上段に置いてある下駄を手元に寄せてきていいものかしらと悩んだけど、口コミの写真でもそうしていたので、手元に持ってきた。
写真を撮っていると、赤出汁とデザートも運ばれてきた。写真もまずかったかもしれんなと思いながら、撮影もほどほどにいただくことにした。
鮪は真赤で綺麗、ピカピカに光っている。口に運ぶとその分厚さに驚く。赤身のあっさりとしつつもしっかりとした旨味を感じられて嬉しい。ぶりは脂がのっていて舌の上でとろけるよう。サーモンはあっさりしていた。わさびもそこまで辛くない。ガリも美味しい。どれも一口で食べてしまうのがもったいなかった。
唯一穴子(や鰻)は骨が多くて苦手なのだが、こういうお店では全然入ってなかったりするのでは‥‥と思ったけど、バリバリ入っていたので、しばらく噛み続けた。
赤出汁は山菜が入っていて美味しかった。
何の山菜かはわからなかったけど。
お店の雰囲気を味わいながら、無心で寿司を食べ終える。お茶をいただいたあと、お会計をし、ごちそうさまでしたと言ってお店をあとにした。
人生で一回はやってみたいこと!という目標だったわけではないけど、一人で回らない寿司屋に入るって何か1つ階段を登ったような気がする。思わぬ実績解除、人生の隠しクエストをクリアしたような、そんな晴れやかな気持ちだ。
またこういうのやりたいなあ。
おやすみなさい。