星燈 紡(ほしあかり つむぎ)

―言葉を紡いで                                    …

星燈 紡(ほしあかり つむぎ)

―言葉を紡いで                                                                              短編の小説を書きます

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書いた小説の制作秘話をお届けします。 作品の制作中の私の葛藤や思考、テーマなどを書いていきます。おそらく、とりとめのない文章になると思いますが...。 その他、ボツ作品や有料作品も余裕ができれば精力的に創作していく予定ですので、今後の活動を見守っていただけますと幸いです。

  • 星燈 紡の作業部屋(ノーマル)

    ¥150 / 月
    初月無料

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拝啓、私に愛を教えてくれた君へ

――――――――――――――――――――――――――――――――――  この日は鈴虫が耳に残るほどよく鳴き、額にべっとりとした汗をかくほどの熱帯夜だった。まだ緑の虫かごが大きく感じるほど小さい私と大きな背中の君と二人でカブトムシを採りに山へ出かけた。君は車を走らせ、私は目をキラキラと輝かせ、車の窓ごしに夜には見づらい木々を観察する。ゴツゴツとして鱗のような木を見つけては車を止めて、木々を嘗め回すように見た。君は率先して木を蹴ったり、叩いたり。目には見えないくらい上に止まってい

    • 理性という名の殻 制作秘話

      〇制作秘話 『生きることってとっても不自由』 よく「自由に生きる」なんてフレーズを耳にします。言葉にするのは簡単だけど、実際にそう生き抜くにはいくつも選択したり、敷かれたレールに乗るしかないことだってよくあるなと思う今日この頃です。

      • 理性という名の殻

         重たい瞼をゆっくりと開けると、飛び込み台が目に入る。視線を上げると薄暗い闇の中で細い糸が煌めく。導かれるように飛び込み台の上に立った。 ―ああ......、また......  プールの水の中をウネウネと靡かせるクラゲの足が私を招くように輝いていた。ぼんやりと見つめていると、足の半分が飛び込み台からはみ出していた。もう一歩踏み出そうとした刹那、水面にいたクラゲが手招くように足を激しく動かし、ギラギラと輝きを増したのだった。眩しさのあまり、足がすくんで飛び込み台に跨って、カエル

        • 心のカクテル 制作秘話

          〇制作秘話 『おしゃれな言葉って難しい...!』 気を使ってくれる人の言葉って多くを語ることもなくスッと落ちるからこそ美しいよねと。 今回のテーマ自体は仕事のあり方について書きたいなと思いつつ、映画のワンシーンのような雰囲気で書きたいと決めていました。

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          二人の翼を合わせて 制作秘話

          〇制作秘話 『迷宮入り...!一歩手前...!』 二作目にしてかなり迷いました。 今回は全体のテイストとして、ライトノベル調、且つファンタジーな作品を書きたい!というチャレンジをしました。 そういう作風が好きな方からすると未熟な部分が多いかとは思いますが、読んでいただきありがとうございます。

          二人の翼を合わせて 制作秘話

        記事

          心のカクテル

          ――ドンッ、カランカラン  分厚い木製のドアが乱暴に開き、上部についたベルが外の雨音に負けないほど荒々しくバーに鳴り響いた。 「いらっしゃいませ」  掃除しているマスターが怪訝そうな顔をしながら振り返り、入店した女性を見つめる。 「いつものをちょうだい」  女性はうねった髪の毛を掻きむしるようにくしゃくしゃと手櫛をしながら早口で言い放ち、カウンターの一番端の窓際の席が空いているのを見て、大きな歩幅で近づいていく。 「お待ちを」  マスターは席手前で女性を静止させ、後ろにある帽

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          二人の翼を合わせて 制作秘話

          二人の翼を合わせて

           ―自分の心がぽっかり空いた感覚が胸元を貫く  地に刺さる大剣の柄を握って体を支えつつ、試験会場の高い壁を超えて顔をのぞかせる大木に指をさした。 「まだだ...。俺がいなけりゃ、アレに傷一つつけられねぇのに。お前はただ俺が切るのを後ろで見てればいいだけだろうが」  胸元に走った痛みを紛らわせるように拳で殴って自らを鼓舞して立ち上がった。野次が大きくなる中、盾を持つ細身の青年は柔らかくも芯のある声で呟く。 「そう...それが兄さん、いや、ウーノが今思ってる大木の切り方なんだね」

          高反発音楽性 制作秘話

          〇制作秘話 『あ、私だな、コレ』 そんなことを文章を書きながらふと思いました。 ちょうど音楽にのめり込んでいた時は、ボーカロイドが来たり、K-POPが来たりと時代の流行が加速したような感覚でした。 今でこそよく聞いたり見たりするのですが、お恥ずかしながら当時の私はボーカロイドに対しては、 『人間じゃないし、機械が歌うのは情緒を感じれないし嫌だ』 そんなことを思っていたなーと懐かしんでいました。 この作品で言えば、ろーちゃんが昔の私で、みーくんが今の私という感じでしょうか。

          高反発音楽性

          「ミークやっぱ神ってる。新曲の歌詞マジでヤバい。『居場所がなくなろうとも手を伸ばし続けてよ きっと君に光が差すから』とかチョーいい。ろーちゃんもそう思わん?」  外で放課後の話をする生徒たちの喧騒とカラスの合唱が交わる頃、イヤホンを片耳にハメて机で頬杖をしながら机の上に腰掛ける私にウォークマンの画面を見せる。 「ちーちゃんもさー、みんなもさー、ミーク、ミークって言うけど、音楽なら激しくてカッコいいスタボーンしか勝たん。ちーちゃんも聞けば絶対分かるって」  ちーちゃんのウォーク

          はじめまして

          読んだ時に寄り添ってくれるような 読んだ後にほんの少し前を向けるような そんな作品を創りたい、届けたい はじめまして、星燈 紡(ほしあかり つむぎ)と申します。 書きたい作品は前述した通りなのですが、ペンネームも同じニュアンスを持つ名前がいいなと思い、この名前にしました。 『小さくても夜空を照らし、そっと寄り添ってくれる星のあかりのように。そのあかりは空を通じて、私の見ている空とあなたが見ている空を紡ぐ。そんな物書きになるように』 私自身はロマンチストではないのですが、小説