AIに小説を書かせるということについて
こんばんは、山崎です。
今回はAI小説について考えていきたいと思います。
AI小説の醍醐味
僕は二本の短編小説をAIに書かせてみました。二本ともnoteに投稿してあります。
「輪廻の記憶」という小説と「冷たい夜の隙間」という小説です。
AIに小説を書かせるといっても、書かせ方は様々です。
ただ、短編小説を書いて、とプロンプトを入力するだけでもAIは小説を書いてくれます。
ですが、それでは面白くありません。
どのような指示で、小説を書かせるか、それがAI小説の醍醐味です。
僕の書かせてみた感想としては、ただ短編小説を書いて、と入力するよりも、指示を細かくした方が、生成される小説の質がいいように思いました。
輪廻の記憶の制作過程
「輪廻の記憶」という小説の制作過程について説明します。
僕はまず、AIに小説のテーマを決めさせました。
「仏教をネタにした小説のテーマを考えて下さい」とプロンプトを入力しました。
すると、AIは、テーマを複数生成しました。その中の一つが「輪廻の記憶」という題のテーマでした。
そのテーマを元に僕はAIに起承転結、それぞれの部分を書かせました。プロンプトとしては、「輪廻の記憶」の起承転結の起を書いて下さい。「輪廻の記憶」の承を書いて下さい…といった感じです。
そして生成されたそれぞれのパートを繋ぎ合わせ、人間が読んで違和感を感じる部分を、僕が修正して完成したのが「輪廻の記憶」です。
冷たい夜の隙間の制作過程
次に「冷たい夜の隙間」の制作過程について説明します。
僕は初めAIにAIの私小説を書いてほしいと思っていました。なので、まずAIに私小説の定義を確認しました。するとAIは、まさに私小説だといえる定義を生成しました。以下がそれです。
〈私小説は、日本文学における一形式で、著者自身の私的な体験や心情をもとにした、自己告白的な小説です。作家の実生活や精神的な内面をそのまま、あるいは多少の脚色を加えて描くことが特徴です。〉
そして、次のようなプロンプトを入力しました。
「あなたの私小説を書いてほしいです。まず、主人公を設定して下さい」
するとAIは、田村悠という男の設定を生成しました。つまり、AIは私小説を定義しておきながら、自分のことを書いてはくれませんでした。AIが自分の内面をどのようにでっちげるのか興味あったのですが、失敗しました。
僕は今回はゲイを主人公にした小説を書かせようと思いつきました。そして、キャラクターをちゃんと設定させてから、小説を書かせてみようと思いました。
まず田村悠に、ゲイという設定を追加してくれとプロンプトを入力しました。そして、彼の恋人を設定して下さい、とプロンプトを入力しました。
すると岸本亮という男の設定を詳しく生成しました。
次に、「田村と岸本の恋の邪魔をする、女性の人物を設定して下さい」と入力しました。
すると、高梨美咲という人物を生成しました。
次に、以下のようにプロンプトを入力しました。
「舞台はとあるバーです。その一場面だけで展開する、田村悠と岸本亮と高梨美咲が登場する短編小説を書いてほしいです。まずは、三幕構成の一幕目の、冒頭を書いて下さい」
舞台を一場面に設定したのは、「輪廻の記憶」ではどこか物語の展開に節操のない感じを受けたからです。場面がころころ変わる印象を受けたからです。
第一幕を生成させて次のようなプロンプトを入力しました。
「それに続く、悠と美咲の会話のやりとりを、書いて下さい。バーテンダーも少し会話に参加させて下さい。」
会話の展開に物足りなさを感じたからです。
次に、二幕を書かせました。
生成された二幕を読んで、展開に大人しさを感じたので、次のようなプロンプトを入力しました。
「なにか大きな事件を起こして下さい」
するとAIは、三幕と終幕を生成しました。
終幕を読んで、悠が一人とぼとぼ歩きながら、なにか考え事をしている場面があると、よりよくなりそうと思ったので、次のようなプロンプトを入力しました。
「亮と別れて、悠がとぼとぼ一人で帰る場面を描いて下さい。悠のモノローグを描いて下さい」
そして、それぞれを繋ぎ合わせ、違和感のある部分を修正しました。
AI小説の可能性
以上のように、僕はプロンプトによってAIを誘導しながら小説をAIに書かせました。生成されたものを読み、より面白くしようと誘導しました。この誘導は、創作ではないのでしょうか。
僕は、この二つの小説をAIに書かせながら、ものづくりの楽しさを感じていました。
そして生成された小説は、馬鹿にできない質のものだと思います。特に「冷たい夜の隙間」の人間の心理の微妙な描写は素晴らしいです。かなり複雑な構造を持った小説を、AIは見事に生成してみせました。
これだけの質の小説を生成させること。その過程に、誘導を通し参加すること。AI小説には大きな可能性があると思います。