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変わらない優しさに感謝して
友だちのこと
2年半前、私は脳出血を発症し、後遺症で左片麻痺となりました。
身体障害者手帳が交付され、障がい者として新たな生活が始まりました。
緊急搬送されて急性期病院に入院したとき、特に親しく連絡を取り合っていた友だち2人に、夫から「今、入院しています」と伝えてもらいました。
その知らせを受けた2人はすぐに連絡をくれて、励ましの言葉をたくさんかけてくれました。
その後も、以前と変わらずくだらないおしゃべりをLINEで送ってくれて、本当に良い友だちだなと感じました。
実は私は、友だちがほとんどいません。
連絡を取り合っているのはその2人だけで、あとは数人、年賀状をやりとりする程度の関係です。
そのため、他の友だちには特に病気のことを伝える機会もなく、年賀状には変わらない近況写真と当たり障りのない挨拶を書いて送り続けていました。
病気や半身麻痺、リハビリのことを話したら、距離を置かれたり、連絡が途絶えたりするのではないかと考えてしまい、なかなか伝えられなかったのです。
そんな中、つい最近、年賀状のやりとりだけしていた友だちの1人から「今年から年賀状は出さず、LINEで挨拶をしたい」と連絡が届きました。
そのメッセージには「これからもよろしく」と書かれていて、建前かもしれないけれどその言葉に勇気をもらい、思い切って自分の現状を伝えてみました。
すると、私が予想していたような壁を作られることも線引されることもなく、その友だちはむしろ親しくしていた友人が突然亡くなった話や「生きててよかった」といった言葉を交え、明るい会話をしてくれました。いつものような何気ないやりとりができ、「また連絡してもいい?」と聞いたところ、「もちろん」と答えてくれました。その言葉がとても嬉しかったです。
私は子どものころから人間関係に苦労し、信頼していた人に裏切られたり、嫌がらせを受けたりする経験がありました。それでも警戒心を持たずに人と接していましたが、大人になってからも裏切りや嫌がらせが続き、いつしか「信頼すれば必ず裏切られる」と考えるようになりました。そのため、自然と人と距離を置くようになったのです。
そしていつも、裏切られたときのショックを和らげるため、心の中で準備をしていました。本当はそんなことをしたくないのに、過去の経験が染みついてしまっているのだと思います。
それでも、今の3人の友だちは私にとって特別な存在です。まだ少し不安を感じることもありますが、この3人は大切にしたいと思っています。