支え合う未来へ:願いを込めて ―病気と半身麻痺が教えてくれたこと
1.社会復帰までの道のり
2024年11月からフルリモートの短時間勤務で社会復帰を果たし、1カ月半が経ちました。
病気で半身麻痺になってからの2年半は無職の状態でしたが、仕事をする感覚は意外と早く戻ってきました。
初めて仕事に復帰する際には不安もありましたが、リモートワークならではの利点に助けられた部分もあります。
たとえば、通勤の負担がないことや、自分のペースで仕事を進められる環境などです。
また、仕事を始めることで新たに気づいたこともありました。
それは、「働くことが自分にとって社会との繋がりを持つ大切な手段だ」ということです。
少しずつ仕事を覚えながら、社会復帰の一歩を踏み出しています。
2.病気が奪ったもの、そして気づいたこと
病気以前、私は派遣社員として働いていましたが、残業もそこそこあり、仕事が終わるとぐったりしていました。
通勤時間は片道1時間超、往復で約2時間。帰宅後には家事という仕事も待っています。
遅く帰れば帰るほど家事は滞り、溜まる一方。それでもなんとかやりくりし、仕事と家事をこなしていました。
そんな日々の中、病気で突然緊急入院し、半身麻痺となりました。
派遣社員としての休職期間は3カ月間でしたが、その終了間際、派遣会社から復職の意思確認の連絡がありました。
当時の私はリハビリテーション病院でやっと自力でベッドから車椅子に移れるようになったばかりで、退院の目処すら立っていません。
復職どころか、今後どのように生活していくかしか考えられない状態でした。
それでも「稼がなければ生きていけない」という思いはありました。
しかし、体が思うように動かない以上、今までのように働けるはずもなく、配慮がなければ復職は難しいことを派遣会社に伝えました。
その返答は、「じゃあ退職ですね。」という、あまりにもあっさりしたものでした。
ねぎらいの言葉ひとつもなく、事務的に突き放されたような対応にショックを受けました。
世の中は甘くない。病気になればあっさり切り捨てられる。仕事なんて誰にでもできるから、代わりの人材は山ほどいる。
それはわかっていたことですが、そのときの私は、社会から切り離されたような感覚に陥りました。
3.「面倒だから」と言われたあの言葉
病気以前、パンデミックよりも前のことです。
リモートワークが当たり前ではなく、毎日出社するのが当然だった時代。私もまだ自由に体を動かせていた頃のことです。
当時、私はある職場で、上長同士が「障がい者をこの部署に入れなければならない」という話をしている場面に遭遇しました。
そのとき、耳を疑うような言葉が聞こえてきました。
「障がい者は入れたくないんだよ。面倒だから。」
その言葉を聞いたとき、私は驚きのあまり上長たちを見てしまいました。本当にそんなことを言っているのかと愕然としました。
もちろん、人それぞれ考え方が違うのは仕方ないことですが、その言葉は私にとってとてもショックでした。しばらくの間、やりきれない思いが胸の中に残り続けました。
当時の私は、障がいを持つことがどういうことか深く理解していたわけではありません。
しかし、以前勤めていた職場で身体が不自由な方と一緒に働いた経験がありました。
その方はとても真面目に働き、必要に応じて手助けをすることで、楽しく一緒に仕事をしていました。特別扱いをする必要もなく、普通に接することができていました。
だからこそ、「面倒だから」という言葉を聞いたとき、強い違和感を覚えたのだと思います。
4.支え合う大切さを忘れないで
今でも、派遣会社からの「じゃあ退職ですね」という冷たい一言や、あの上長の「面倒だから」という発言を思い出すと、ときどき怒りすら覚えます。
そのような言葉を発する人たちから見た私は、排除すべき存在なのでしょうか。
世の中にはこうした考え方を持つ人が少なからずいることを、私たちは知っています。
でも、それを目の当たりにすると、やはり悲しい気持ちになります。
不自由な身体になり、できないことが他の人より多いかもしれません。
それでも、同じ地球上で、同じ世界で生きていることを忘れないでほしいのです。
人は支え合って生きています。健常者であれ障がい者であれ、誰もが助けを必要とする時があります。ただ、障がいを持つ人は少しだけ助けの回数が多くなるだけです。
「面倒だ」という言葉は、健常者にも障がい者にも当てはまるもの。
誰かを助けることは、面倒だから避けるべきことではありません。
5.願いを込めて
もう二度と、あのような人たちに会いたいとは思いません。
でも、いつか彼らにも、障がいを理解するきっかけとなる出来事が起きることを願っています。
そしてそのとき、周囲に助けを必要としている人がいたら、進んで手を差し伸べられるような人になっていてほしいと思います。
6.最後に
―ー神様からのすばらしいギフトが、皆さんにも届きますように