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『私の人生ウルトラソウル』 第3章:新しい舞台

退院後の生活は、想像以上に難しかった。
左片麻痺の状態で日常生活を送ることに慣れていなかった私は、右手だけで何かをするという発想すら浮かばなかった。

「どうやったら一人でご飯が食べられるだろう?」「右手だけで髪をまとめるにはどうすればいい?」

そんな疑問を抱えながら、毎日インターネットで片手でできる生活の工夫を必死に調べた。
それでも最初はうまくいかないことばかりだったけれど、毎日生活を続ける中で、少しずつ自分なりのアイデアが浮かぶようになった。


「これ、こうすればいいんだ!」


気づけば、わざわざ高価な福祉用具に頼らなくても、身近にあるものを工夫して使いこなせるようになっていた。

そして、左片麻痺の体で生活することにも、次第に慣れてきた。



— 社会復帰への道 —

日常生活に少し自信が持てるようになった頃、私は社会復帰を目指して就職活動を始めた。
しかし、現実は甘くなかった。
条件に合う仕事がなかなか見つからず、思うように進まなかった。


焦らずに、今できることをやろう。


障がい者であれば1年間、失業保険が受け取れる。
それならば、その時間を最大限に活用しようと決意した。
しばらくは生活費の心配をせず、リハビリに専念することにした。


歩くことをもっとスムーズにしたい。


そう思い、日々のリハビリに全力を注いだ。
広い場所への外出には車椅子を使っていたけれど、私は新たな目標を立てた。

夢と魔法の王国へ、自分の足で歩いて行く。

その目標が、私の心に新たな炎を灯した。


— 二度の夢の舞台 —

退院から9カ月後
私は念願の夢と魔法の王国へ連れて行ってもらった。まだ長距離や長時間歩くことには自信がなく、車椅子を使いながらの訪問だった。それでも、あの場所に立ち、大好きな世界を肌で感じられた瞬間、涙がこぼれた。


次は必ず自分の足で、この場所を歩き回りたい。


その思いを胸に、私は再びリハビリに励んだ。長距離を歩く練習を繰り返し、日常生活でもなるべく歩くことを意識した。



そして約1年後――

私は再び夢と魔法の王国の地に立った。
今度は、車椅子は必要なかった。

自分の足で、ここまで来たんだ。

その日は朝から晩まで、たくさん歩き、たくさん笑い、心から楽しんだ。
何より、自分の足で大好きな場所を満喫できたことが、何よりの自信になった。

おのれの限界に気づいたつもりかい?
かすり傷さえも無いまま終りそう
一番大事な人がホラ
いつでもあなたを見てる Ican tell

夢じゃないあれもこれも
今こそ胸をはりましょう
祝福が欲しいのなら
底無しのペイン 迎えてあげましょう
そして戦うウルトラソウル!HIGH!

B'z  ultra soul

頭の中にB'zの音楽が流れ、私は小さなガッツポーズをした。




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