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東洋医学における六腑について

今回の記事では、「腑」について。

以前は「臓」について書きましたが、臓は実質臓器、腑は中空臓器(中身が詰まっていない臓器)というように簡便的に覚えるといいでしょう。

さてさて、胃から整理していきます。

1:水穀の受納腐熟をつかさどる
 水穀というのは平たく言ってしまえば飲食物のことです。それの「受納」
 「腐熟」を行うということですが、「受納」はそのものズバリ飲食物を
 受け入れるということで、「腐熟」は、そうです、消化するということ
 なんです。
2:降をもって和(あるいは「順」)とする 
 胃における内容物の進行方向を示しています。胃で受納され腐熟された
 飲食物は、その下にある臓腑である小腸に送られる(降ろされる)という
 ことです。その方向に進むのが正しいと言っています。

胆のう

1:胆汁の貯蔵と排泄
 解剖学的に言う所と同じ機能です。ちなみに胆のこの胆汁排泄作用は、
 肝の疏泄作用によってコントロールされています。 
 そしてこの胆汁は脾胃での消化作用を助けていますので肝の作用が
 正しく行われていれば→胆の機能も正常化→ 消化作用も正常化、
 となります。
2:主決断(決断をつかさどる) 
 胆と肝は表裏関係にありまして(お互いに補完したりする、より密接な
 関係ですね)、肝が謀慮をつかさどり、胆は決断をつかさどるといわれ
 ます。肝が考えをめぐらし胆がその決断を下すということです。
 胆の機能がきちんと働いていればいわゆる「腹の据わった」状態になると
 いうわけです。

小腸

1:清濁泌別
 小腸では、胃から送られてくる水穀を受け入れてそれを消化するの
 ですが、その消化物を清(水穀の精微)と濁(糟粕)に分けるという
 ことです。この清は脾の働きで全身に運ばれ、濁は大腸へと運ばれて
 いきます。

大腸

1:糟粕の伝化をつかさどる
 「糟粕」の意味ですが、前回の小腸で清濁の泌別を受けたあとの濁の
 部分です。簡単に言ってしまえば「便」です。
 濁から余分な水分を再吸収して糞便を形成するのが大腸の機能です。
 まさに西洋医学と同じです。

膀胱

1:貯尿と排尿
 人間の水分代謝の最終地点として膀胱は存在しますね。このときはまだ
 「尿」ではなく「水液」という状態で、膀胱に来て初めて「尿」という
 姿に変えられます
(西洋医学の解剖学や生理学での概念と混同しやすいですが、あくまでも
 東洋医学での概念だと念頭に入れておいてください)。
 そして膀胱に貯えられた尿は、膀胱の気化作用によって体外に排泄
 されます。この時の気化作用は、腎の気化作用とも関連しています。

三焦

1:気の統轄
 三焦には、上焦・中焦・下焦の三つがありそれぞれにおいて気の通り道
 でもあり、三焦が正常であれば全身の気のめぐりは滞りなく行われて
 いるといわれています。
2:水の通り道
 気の通り道であると同時に、体内の水液の通路でもあります。
 水液は肺や腎・脾・腸・膀胱など様々な臓腑によって代謝されるの
 ですが、その時にこの三焦を通じてこれら臓腑間の水液の調整がうまく
 いくようになるといわれています。

この三焦というのは、西洋医学的には存在しない腑なので、鍼灸学校に通い始めの皆さんは少々理解に苦しむかもしれませんね。
平たく言ってしまえば、血管やリンパ管のように、「巡らせるための通路」です。


以上で、前回の臓に続いて腑について、その概念を書きました。

食べ物を食べたときに、どのように消化され、まさにカラダの血となり肉となっていくのかを、順を追って各臓腑の働きと合わせて説明しているの図は下記記事(有料です、ご容赦ください)からPDFデータでダウンロードできます。よろしければあわせてどうぞ。


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