【短編小説】#15 相思相愛は叶わない
瀬田蒼はスランプに陥っていた。書けないのではなく、書いていいのか迷って悩んでいる様子だ。この話はちょっと長くなるけど・・・
——ずっと気にしてたんだよ。君に聞いて欲しい。
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【エッセイ】フォローとフォロワー
SNSやnoteでフォローしてくれる人がいるけど、こちらからフォローしないとしばらくして外しちゃう人がいる。悪いけど私はとにかく書きたい気持ちでいっぱいなので、いちいち誰にフォローされたかをその場で確認することはない。もちろん時間があるときにはフォロワー一覧を確認して好みのアカウントがあればフォローすることもある。
その基準は明確で、私は小説LOVEなので少なくとも小説を書いている人が対象だ。小説以外だと研究にも興味がある。小説を書く人のなかにはエッセイ成分が多めの人もいてそういうのは読まないけど、小説を愛している人は仲間でありライバルでもあり参考になるので単にそうしているだけ。正直に言うとつまらない人もいるけど、つまらないのに人気があるのにはなにか理由があるはずなので分析対象としているケースもある。この件については後述としたい。
逆に私がなかなかフォローしない人に対して中身までを否定するものでものでもなく、単に私自身が決めたルール「小説を書いている」「ある分野で分析や研究を行いレポートを発信している」に従っているだけ。軽い気持ちのお返しでフォローしたのにスキもしないし読まないのは、それはもうスキでもないし興味も持っていないただのバッヂだからね。そういうのは私は嫌だ。ただね、ここだけの話、フォローしていただいている人の話はたまに読んでみたりしています。なのでまずは書き続けて欲しいです。
そういえば私はもうやめちゃったけどSNSで世界的な有名人にフォローしてもらったことがあった。ある分野の博士で、リプライであることを教えてあげたら感謝の言葉とともにフォローをしていただいた。その時はとにかく驚いてすぐにフォローをしたんだけど、これなんかは同じ分野で相思相愛でつながった顕著な例だ。彼女のFF比は1:50、つまフォロワー50人に対して1人のフォローだったのでまさに運命だった。相手に興味を持つとはこういうことなのだ。
それでさきほどのつまらないアカウントでもフォローを集めている人の特徴を考えてみる。まず分母を増やす努力を行っている人が多い。私が目の当たりしたのはFF比が4:1くらいのアカウント。なぜそんなにフォローをしているのかその時は理解できなかったのだが、半年ほどしてから見に行ってみるとFF比は1:1くらいになっていた。フォローすることでフォローを返してもらうのを意識していることはあきらかだし、人気アカウントを作るには合理的な戦略である。賢いなあ。
私は多少ひねくれているのでフォローやスキをもらうことイコール興味を持ってくれているのか考え込んでしまう。相手の養分として誘われるフォロースパム、スキスパムではないのか。不用意に手を出して自分が設定したフォローのルールを甘くしてしまうのではないか。結局のところ私は単に臆病なのだ。臆病が故に決めたルールを超えないことで自分を守っているというだけのことなんだ。小さな人間なんです、私。
私にはもうひとつ決めたルールがある。フォローのルールとは別に執筆のスタイルを制限しないことだ。毎日更新とか何曜日に更新とかルールを決めている人もいる。長く書くには多分これが正解だ。けれど私は推敲をほとんどせず、思いついたことをただ書き連ねるタイプなのでお題を控えておくくらいはするけど、一晩寝かせるということはまずない。最近ではアウトプットという言葉を耳にするけど、私の場合はそれで何かを得るという目的意識はなく、頭の中がパンパンになってしまう前にふぅーっと吐き出す息のようなものなのだ。
そんなことで私が書く動機は不純だけど、最初から築き上げたものもなく何も失うことはないので、いつ止めても後悔はないから書くことが楽しいのだ。文章を書いて収益化して一発逆転の不労収入を狙っている人が多いけど(noteの場合はサービス運営のための設計上、健全な行為)、台頭してきたAIはトレンドやワードを分析して効率よく売れる文章を作れるから、趣味で書いている人以外はたぶん十年後には駆逐されていると思う。私は書いた後のことは知らないので、AIと一緒にnoteの中をさまようのはやぶさかではないけどね。
まあそんな話でした。
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【エッセイ】続・フォローとフォロワー
このnoteをはじめて1年くらい経ったある日、こんな話をエッセイとして投稿したら私の意に反してその日からフォロワーがどんどん増えてしまった。現在進行形で増え続け、FF比は今やSNSで出会ったあの博士と同じ1:50まで勢いを増している。いまや何を書いてもスキが3桁を超え、急上昇の常連となり、しばらく書かない日が続くと催促のコメントが付くのだ。
私は布団を被って考える。スキという可視化された数値は本当に人気や賞賛を表しているのだろうか。あんなのはただの記号だ。スキ=スキとは限らないじゃないか。もしかして馬鹿にして祭り上げて遠くから笑っているだけなんじゃないか。じゃないとあんなにもつまらない話にあんなにもスキがたくさん付くはずがないんだ。ちょっと待って、私はどうなんだろう。今まで考えたこともなかったけど私の話だって相当につまらないじゃないか。
私はいま、見知らぬ人たちに取り囲まれて監視をされている。
† † †
病んだ私はノートを破り捨てるように執筆活動をぴたりと辞めた。後悔はなかった。それこそが唯一自分を冷静に判断できていたことの証だった。そしていま、この新しいアカウントで再出発をしている。
——相思相愛は叶わない。
この話のどこまでが真実でどこまでがフィクションなのかは賢明な読者のみなさんの判断に委ねます。
——ずっと気にしてたんだよ。君に聞いて欲しい。
私はいま、小説を書いている。