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【中編小説】#01 パラレルワールド

——ざぶん。

わたしの棲むこの世界では、深淵の海の中を潜り続けると別の世界へ辿り着けるという言い伝えがある。もしその話が本当であれば深海魚は別の世界とこちらの世界を行き来する生物と言うことになる。

——最後に出会ったあの彼女は今頃元気でやっているだろうか?

わたしは波の上でぷかぷかと体を浮かべ、覚悟を決めて大きく呼吸をすると肺の中が空気で満たされた。毎回感じるのだが、深海3,000メートルも潜ることが出来るのか私には自信がない。

——ひさしぶりに彼女に会いたい。

海面から顔を出し、背中を丸めて一気に海中へ潜る。100メートル、200メートル。しだいに『空』は明かりを失い、魚たちの影も見えなくなってくる。人魚のように『足』をくねくねとさせ、わたしは一心に深海を目指す。

そうして彼女はこの世界からあっという間にその存在を隠してしまった。

(著者注)この小説ではここでいったん時間が止まりますが、実際にはここから長い長い月日をかけて物語は進行していきます。

今回はじめての試みとして1,000文字にも満たないこの小説を中編小説に仕立てる作業を行っていきたいと思います。そしてそのためにはかなりのアンフェアも含みます。成功するかはわかりませんが、それを目標として以下の記号を置いておきます。この記号が意味するものとは・・・


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