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看板キャストの重圧と悩み

V店のオーナーが新店舗を出す事になり、そこからオープニングメンバーとして移籍する事になった当時24歳の私。

これまで最底辺とも言える意識の低さで売れない在籍嬢として2年近く働いていましたが、元彼の現彼女が他店のNo.2と称される子であった事から、新店舗で頂点を目指す事を決意しました。今回は当時についてを綴ります。

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V店でのラスト勤務を終え、新店舗オープンまでの約半月は丸々夜職を休業する事にしました。その間に私は、地道に貯めてきたわずかな貯金をはたいて奥二重だった瞼と団子鼻を治す為に一番ダウンタイムの少ない施術法を選んで整形手術を受けてきました。そして以前から定期的に続けてきたエラボトックス注射を終え、コンプレックスだった下膨れを治しました。

その間、二重手術後の1日だけ昼職を休み、その後はマスクで顔を覆って普通に仕事に行っていました。営業用のブログには元々生まれ育った横浜に帰省すると書き、月末までV店に残らず月半ばの週末をラスト出勤日と決めて新店舗オープンまで休みを取っていました。

そして、新店舗に移籍が決まった直後にスタジオで撮影した宣材写真がその月末に発売されたナイト系情報誌に掲載されました。

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これが実際に掲載された物で、顔だけは整形手術後の仕上がりを想定して修正をかけて頂きました(笑)。まだ盛り髪が主流だった時期なのでこうして写真を見ると時代を感じますね。

単独で地元誌に載ったのはこれが最初で最後。このような形で私は、新しくオープンするA店の看板キャストと銘打って新たな道に踏み出す事となりました。

そして迎えたA店グランドオープンの日。

私を含む5人はV店から移籍したキャストで、その他に新たに採用された女の子が5〜6人。私よりも水商売経験が浅い子や未経験の女の子も多かったものの、今までろくに成績を上げてこなかった自分が胸を張って前に立つのは何か違うかな…と思い、あまり目立たず周りの女の子達に合わせて動きました。

ところが、営業終了後に早速オーナーからダメ出しを食らってしまいました。

「今までにV店で売上を出せていなくて自信が持てないのは分かるが、心機一転ここで頑張ると決めたならそんな一歩下がった姿勢でやっていたらダメだ。この店の看板を背負って1番を目指すんだろう?むしろ、お前が周りを引っ張っていく姿勢で行かないと。」

重い言葉ではありますが、オーナーの言う事はごもっともです。オープニングメンバーの中でもレギュラー契約で移籍組である私は、ある意味経営側の一員として店を盛り上げていかなければいけない存在だったのです。

なのに自分自身に対する自信のなさを言い訳に、出しゃばった事はすべきでないと目立つ行動を避けてしまっていました。でも、やはりこの世界で頭角を現す為には、周囲の足を引っ張らない程度に自分のキャラクターや存在感を前面に出して目立つ事は重要。それこそ、今やっている派遣キャストとは真逆の方向性で努力を積み重ねなければいけないって事ですね。

その後、客が店内見学に来る際は誰よりも目立つ位置に立って笑顔で出迎える、多少好みとは違っても普段のイメージとは異なる色柄のドレスやヘアメイクに挑戦する等、私なりにできる簡単な事から始めてみましたが…

見学のみで客が帰ってしまうと店側からは"一番前にいる子の印象で客が店に入るか入らないかが決まるんだから、前に出る子はもっときちんと良い印象を与えられるように手足の置き方から表情まで考えて"と言われました。

また、新しいドレスを着用したり髪型を変えたりを試みたものの全然似合わず"このドレスの形だと肩幅が広めなのが目立つ"とか"髪型のせいで実年齢よりもババくさい印象になってしまう"とダメ出しを受ける事もありました。先行投資に見事失敗して無駄な出費も作ってしまう羽目に。

目立つ行動を避けると看板キャストとしてあるまじき姿勢だと言われ、目立とうと前に出ても何かしらに問題がある…V店でナンバー嬢の後ろ側に隠れてばかりいた私には出来なかった事があまりにも多く、なかなかその壁を上手く乗り越える事ができませんでした。

更に、レギュラー出勤の傍ら昼職にも週5日行っており、若かったとはいえさすがに三日三晩寝ない日が続くと営業終了時間が近づく頃には眠気と疲労がピークに達し、それなりに飲酒していた事も相まってトイレに入った時に10分以上寝てしまって黒服から厳しく注意を受けた事もありました。

レギュラー出勤は私が選んだ道…それでも元々精神面で弱い私は、次々と降りかかる店の看板キャストとしての重圧や自分のダメさ加減と向き合わなければならないという厳しい現実に耐えられる自信を失いつつありました。

こんな日々ボロボロの状態で冷静に自分を見つめ直す余裕もなく、A店オープン初月は売上No.1になれるどころか、上位3位以内に入る事さえできませんでした。

当然周りからは"看板キャストとしての自覚がない"とか"A店を代表する形で雑誌にも載っているんだから、それに恥じない結果を残さないと"などと叱責を受けました。一般企業ではパワハラだと捉えられる内容も普通にボロクソ言われて非常に悔しかったけれど、すべて事実なので言い返す言葉もありません…

長年のコンプレックスだった顔のパーツを整形して以前よりは幾分見映えが良くなって、自分は生まれ変わったつもりでいたけれど結局中身はダメ嬢のまま。

これまでに周りから耳が痛くなるほどダメ出しを食らっていて、自分自身に足りないものが何か分かっているのにそれを改善できず、1つ乗り越えても課題は山のように残された状態。

こんな私には水商売の素質は当然ないけれど、叩き上げでNo.1になれる器さえないのかな…もう体力的にもキツいからレギュラー出勤も辞めようかな…と半ば諦めかけていました。

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今後はV店からの移籍が決定してA店で新しいスタートを切るまでに自分の周囲で起こった出来事やこの状態から再度這い上がったきっかけについて書きたいと思います。

今回の記事には登場しなかった元彼のマサヤとその彼女の結女ちゃんの関係性や立場にも変化がありました。この辺りが今後の私の進む道に大きく関わっているので、あまり私個人の恋愛話なんかに興味ないという方にも読んで頂けたら嬉しいです!

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