ブロックチェーン×エネルギービジネス[抜書き]

電気を始めとするエネルギーがフリーになると、出来ることは広がる。エネルギーの低コスト化にブロックチェーンは活用できる。

電気代が大幅に下がることで低コストで植物工場を作ることが出来る。

ブロックチェーンによる、ビジネス活用。マイクロペイメントができるようになる。ブロックチェーンの送金手数料は、現在の送金の手数料より安いため、従来であれば、手数料の面で考えられなかったビジネスモデルが生まれる。スマートコントラクトによる契約の自動執行でレンタカーが便利になる。レンタカーをする際に、手書きの契約書ではなく、ブロックチェーンで作られたアプリなら、契約が成立した場合、自動でロックが外れ、運転できる。契約の時間がすぎると、車が動かなくなる、というスマートコントラクトを記述しておく。コピー機の修理も、コピー機自身が自動で業者に通知するプログラムを書いておけば、スムーズ。

分散型発電。太陽光発電は火力発電に比べると設備が小さい分、発電に適した場所も豊富にある。江田(2018)は、「太陽光発電のコストが火力発電のコストより安価になってきている」と書いているが、本当か。アフリカやアジアの奥地で大規模な発電所を建設し、そこから電線を引いて村や街に電気を送るのは現実的ではない。村や街単位で発電し、家同士が電気を融通しあうエネルギーモデルを構築する方が良い。この点でブロックチェーンが役立つという。

個人間で電気の売買。その際に、ビットコインを送金するイメージで電気の売買が行えるようになる。ただ、現在日本では電気の個人売買は認められていない。さらに、電気を売買するのはデータを書き換えるだけでなく、電気も移動させなければならないので送電網は必要で電力会社の協力が不可欠。送電網がなくても電気を送る無線送電の技術が発達すれば、電力会社を巻き込まずに個人間で急速に取引が進みそう。結局、ビットコインの発明は、貨幣の発行、貨幣の保管を担ってきた中央銀行、市中銀行なしで、P2Pで回るシステムを築いたことが一つだと思う。だから、電力なら送電、売電を担っている電力会社がアクターとして入るならあまりイノベーションではなく、電力会社抜きの分散ネットワークを築けることがメリットだと思う。

M-PAYG(デンマーク)は、モバイル決済による前払い制の太陽光発電を途上国向けに提供している。電線が引かれていない僻地の住民が対象。利用家庭は、スマートフォンから料金を前払いで払う。支払い後に送信されるトークンを太陽光パネルの制御装置に入力することで、一ヶ月電気を使うことができる。50回電気を使うと、太陽光パネルは家庭の所有物になる。大規模な発電所と送電網なしで電力を供給する仕組みがすごい。

無線充電は、現在のWifiのような感覚で、あるスポットに入れば自動で充電される。ドローンや移動式ロボットは、そのような形で充電される。無線充電は、スーパーでの買い物中、信号待ちなどの短い待ち時間にEVを充電させるというケースでも活用されていく。以上は、蓄電池、EV、無線電線などの技術力が上がればという話だが、以下はそうなった際にブロックチェーンが活躍するという話。マイクロペイメントは、そういった少量の課金に欠かせないインフラと言える。自動で充電するという仕組みは、スマートコントラクトで設定しておけば良い。契約の執行をブロックチェーン上で記録すれば、どれだけ電気を購入したか、いくら支払ったかをウォレットで簡単に確認することができる。innogy(ドイツ)は、利用者がアプリを使用して、外出先で充電し、料金を払うことのできるプラットフォームを作った。ブロックチェーンを活用することにより、充電での課金や決済の手間を簡素化。

電力の個人間取引をビジネスとしている企業は、Power Ledger(豪州)がある。売り手と買い手が仲介役を介さずに、太陽光パネルで発電した電気を直接取引することを可能にする。電力網上でのP2P取引、同じ建物内でのP2P取引を想定。電力会社との共同で進めているこのビジネスが想像もできないほどイノベーティブだとは思わない。電力の個人間取引が普及しても、最初に言っていた無尽蔵に電気を使える社会にはならないのではないかと思うから。

参考文献

江田健二 「ブロックチェーン×エネルギービジネス」 エネルギーフォーラム.2018

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