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長男とティッシュ~お金じゃ解決できないのよね

東京の平沢です。
今回は我が家の困った出来事から、気づいたことを切り取って綴りたいと思います。

洗濯物を取り出すと、またもやティッシュまみれ。「またか…」と思いながら、怒りがこみ上げてきました。大学4年生の長男がズボンのポケットにティッシュを入れたまま洗濯に出したからです。何度注意しても、同じことを繰り返す長男に、正直うんざりしていました。

「ポケットにティッシュを入れたまま洗濯に出さないでって言ったでしょ!」と怒りをぶつけても、長男は「あ、すまん」と一言で終わり。私はといえば、注意書きを貼ったり、ティッシュまみれの洗濯物を見せたり、理由を説明したりと、あれこれ試してみましたが、1ヶ月もするとまた同じことが起こるのです。

そんなある朝、出勤前の忙しい時間に、またしてもティッシュだらけの洗濯物を目にして、ついに私は「ティッシュをポケットに入れたまま洗濯に出した人には、500円の罰金を払ってもらいます!」と怒りの宣言をしました。夫や子どもたちは、私の怒りを前に黙って新しいルールを受け入れました。

そして数日後、またもやティッシュまみれの洗濯物を発見。長男のポケットからティッシュが出てきました。
リビングにいた長男に「ティッシュがポケットに入ってたよ」と伝えると、彼は驚いた顔をしながら「ちゃんと確認したよ」と言います。しかし事実、ティッシュは入っていたのです。私は「ほら、見て」と静かに怒りをこめて指摘しましたが、長男はムッとした顔で自室に戻り、その後「お金!」と乱暴に500円をテーブルに置きました。
その態度に腹が立ち、「お金を払えばいいって問題じゃないでしょ」と返した私。そう言ってるそばから、気がつきました。そもそも、お金で解決しようとしたのは私自身ではないか!と。

私が本当に望んでいたのは、家事をする側として、相手に想像力を持って行動してほしいということ。ティッシュをポケットに入れたままにすると後が大変だし、洗濯機が壊れるかもしれないから、注意してほしい。そして、問題が起きたとき、放置しないで「次はどうするか」を考えて行動にうつしてほしい。もし、その対策がうまくいかなかったら、次なる対策を考える。
これが私の本当の願いだったのです。同じことを繰り返す長男にイライラしながら、私は自分なりの方法でトライ&エラーを繰り返していましたが、「お金で解決」というトライにはエラーはありません。長男にとっては、罰金を払えば「終り=エンド」なので、次に何をすべきか考える必要がないからです。つまり、それは考える力を失わせるもので、私の求めていたものではありませんでした。

そんななか、長男が「ティッシュが入っていたズボンは、洗濯に出すものじゃなく、風呂上がりに使う予定だったから、それも含めてどうするかを考えてる」と言いました。
長男は朝風呂の習慣があり、私は朝、洗濯をします。『あれ?もしかして私が間違って洗濯物でないズボンを洗濯機にいれちゃった? で、 "どうするか考えてる"って、いま言った?』
私は嬉しくなり「あ、そうだったの? しかも、ちゃんと考えてくれてたんだ! そうそう、ママがしてほしかったことは、それ! ちゃんと次の対策を考えてたならオッケー!」と、素直に気持ちを伝えました。長男は、黙って聞いていましたが、私の思いは伝わったようでした。

思えば、長男が幼いころから何か困ったことが起きたとき、「次、どうする?」と言葉かけをし続けてきました。
例えば、小学生の頃、よく約束の帰宅時間をすぎることがありました。理由は大体、友達と話しているうちに時間が過ぎてしまうからです。そのたびに、「心配だから」と伝えて、「次、どうする?」と一緒に考えました。そして、「遊びに行く友達の親に門限を伝えて声をかけてもらう」、「遅くなりそうなときは連絡をいれる」など、いくつかの方法を試して試行錯誤を重ねながら過ごしてきました。
実際、私自身も宣言した帰宅時間を守らない常習犯だったので(汗)、子どもと同じように行動修正です。「携帯電話のアラームを鳴らす」「家族に告げる帰宅時間は余裕をもって申告する」など宣言して行動し、子どもに「ママ、〇時に帰るっていってなかったっけ?」と言われることがないよう心がけました。

今にして思うと、結果としてできるようになればもちろんよし、もっと大事なのは改善マインド=よりよくあろうと考えて実践するを繰り返すことこそが、考える力を身につける肝だったのかもしれません。

そんなふうに、子どもと一緒に「次、どうする?」を実践して過ごしてきました。日常の些細な積み重ねの習慣から身についたマインド! ただ、私が長男より先に「次、どうする?」と質問するので、彼の中で育っていた問題解決の力が見えていなかったのかもしれません。

そのため、問題が起こっても放置していると思い込んでいましたが、もしかしたら、今までも長男なりにどうするかを考えてトライ&エラーを繰り返していたのかもしれません。そんな反省をしつつ、その後、ズボン専用の洗濯籠を用意することを私が提案し、長男もそこにズボンを入れることで同意しました。これで私もチェックしやすくなり、長男も無意識にティッシュを放置することがなくなりました。実際、3ヶ月以上経ってもティッシュまみれになることはありません。罰金制度は自然と消えそうです。

この経験を通じて学んだことは、お金では本質的な問題は解決できないし、問題解決の力を身につけることはできないということ。そして、身につけてほしいと思って伝え続けてきたマインドは、ちゃんと身についてくれていると気づいた出来事でした。

2024年10月14日
東京都/平沢恭子 
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定ハートフルコーチ





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