子育てほぼ卒業。バンド始めてみた♪ ❷
新入りは謙虚に!
私の毎月のスケジュールに「バンドリハーサル」というカッコいい予定が加わった。
特に人前で演奏するようなLiveがあるわけではないが、メンバーが集まって練習する日を「リハーサル」と呼んでいるこのバンドは、元々おじさんメンバー3人だった。70歳(ギター)、65歳(ドラム)、58歳(ベース)と、若い頃からバンドが大好きなベテランだ。職場の役職名に例えるなら、「部長」「課長」「係長」といったところである。
前回のバンドに誘われワクワクした話にも登場した職場の元上司は、ここでも「課長」である。「ビートルズの『Let it be』をやるんだけど、イントロがキーボードのソロで始まるんだよね。」ということで、キーボード担当新入りの私は、楽譜をもらってから初リハーサルまでの1か月、必死に練習した。
楽譜通りに弾くならまだ良かったが、「おじさん達は高音が歌えなくなってきたから、3度下げてね」と特注付きだった。「3度下げるってなに?!」「ソの音をミの音で弾くってことだよ」・・・どうやら全ての音を半音ずつ3つ下げて弾くってことらしい。小学校の時にピアノを習っていた程度のバンド初心者には、難題である。
「やっぱり面倒くさい」と思いつつ、それでも子どもたちから「バンド?いいじゃん!がんばって!」と応援してもらったことが、不思議とやる気に繋がっていた。「あきらめない!私はできる!」と自分を鼓舞すると同時に、私もこんなふうに子どもたちを応援できていたのかも!と嬉しくなった。親の応援が子どもたちの力になっているとしたら、こういうことなのかもしれない。
ただ、私と息子、娘はそれぞれ違った気質を持っていて、子育て中は「何でそうなの?!」とイライラの連続だった。ハートフルコミュニケーションに出会うまでは。
人の気質についてエニアグラムを学び、自分のタイプを知った。そして子どものタイプに合わせて考え「なるほどあなたはそうなのね」と対応できるようになった。
これは、職場でも大いに役に立った。
そして、今回のバンドでも・・・
必死に練習し、楽譜がなくても3度下げた『Let it be』が弾けるようになり、バンドメンバーとの初リハーサルの日が来た。
「どうも初めまして、部長です」「どうも~係長です」「Hirorinです、よろしくお願いします!」と、ここまでは順調だった。私としては、ビートルズナンバーの要であるキーボードを引き受け「ようこそ!」とWelcomeムードで迎えられる予定であった。そのために練習もがんばったと思う。
ところが、少し個人練習をして「さあ合わせてみようか」となった時、部長が言った。「イントロは今までどおりギターから始めるから」それを聞いて焦ったのは、私を誘った課長である。「いや、『Let it be』のイントロは、やっぱりキーボードでしょ」「いや、ずっとギターでやってたから、ギターでいいよ」・・・何回かこのやり取りが繰り広げられ、私は部長に受け入れられていないかも?と悟った。
「イントロをゆずりたくない?」「私ではダメってこと?」「いやいや、せっかく弾けるようになったのに・・・」一瞬にして思考回路全開で落ち込みそうになったが、頭をフル回転させ部長のタイプを探った。そして受け入れられていないのは、私がダメなのではなく(笑)、部長は不安タイプ(私と同じ)なのかもしれない。私に任せられるかどうか、初対面の相手を受け入れるのに時間がかかる人なのだろうと勝手に推測した。
そして、焦る課長を横目に言った。「部長!そうですよね~!では私はどこから弾けばいいですか~?」部長の笑顔が戻った。そして私は新入りモードに切り替え、信頼関係の構築に努めた。(そもそもそうだよ新入りだよ。)
その後、謙虚に良好なコミュニケーションを図り、2回目のリハーサルでめでたくイントロを任せてもらうことができた。
そして3回目のリハーサル。部長がたくさんの楽譜をくれた。「もう覚えちゃったからあげるよ」と、目の前に差し出された楽譜入りの大きな封筒には『健康診断のお知らせ』と書かれていた。「部長、ちゃんと健康診断受けてるんですね!」不安タイプなら当然のことである。私のタイプの見立ては当たっていたようだ。
現場からは以上です。
Hirorin
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定コーチ