健康の心理学10:健康信念モデル
健康信念モデルとは、個人の健康行動は、特定の健康問題に対する個人の認識(感受性、深刻さ)、行動の利益と障壁、および行動のきっかけとなる要因といった、いくつかの信念の組み合わせによって形成されると仮定する、健康行動を説明する心理社会的なモデルとなります。
単に「信念」の影響を見るだけでなく、個人の認識と行動の関係性を多角的に捉え、健康行動を予測するための枠組みを提供します。
『健康オオカミの秘密 ~信念が導く健康行動~』
▶︎いつも元気でパワフルなオオカミのウルフは、健康に人一倍気を使っていました。
なぜなら、ウルフは、病気になると、大切な友達と遊べなくなってしまうことを、身をもって知っていたからです。
ウルフは、「一度病気になってしまうと、完治するまで時間がかかるし、苦しい思いをするだろう」と、病気の恐ろしさをよく理解していました。
ウルフは、病気を予防するためなら、少々手間がかかっても構わないと思っていました。
健康的な食事をしたり、毎日運動したりすることを、面倒だとは感じませんでした。
また、ウルフの周りには、何かあった時に助けてくれる仲間がいたため、「もし自分が病気になったとしても、仲間がきっと助けてくれるだろう」と安心していました。
ウルフは、病気になることのデメリット、健康でいることのメリットをよく理解していました。
▶︎ウルフは、毎日、バランスの良い食事をとり、適度な運動を欠かさず、規則正しい生活を送っていました。
また、風邪をひかないように、手洗いうがいを徹底し、体調管理にも十分気をつけていました。
ウルフの周りの動物たちは、ウルフの健康に対する高い意識を尊敬し、ウルフのように健康的な生活を送るように努力し始めました。
ウルフは、自分の健康に対する信念を周りの動物たちに伝えることで、森全体の健康レベルを高めることに貢献しました。
そして、ウルフは、健康な体と心を持つことこそ、幸せな人生を送るための基盤であることを、みんなに伝え続けたのでした。
健康信念モデルは、個人の健康行動が、いくつかの信念によって左右されるという考え方に基づいたモデルです。
ウルフのように、人は病気に対する感受性、病気の深刻さに対する認識、健康行動の利益と障壁、行動のきっかけとなる要因など、様々な信念に基づいて健康行動を決定します。
感受性とは、自分が特定の病気にかかりやすいと感じる度合いのことです。深刻さとは、その病気にかかった場合に、どれほど深刻な影響を受けると認識するかということです。
利益とは、健康行動をすることで得られるメリットのことであり、障壁とは、健康行動をする上で障害になることを言います。
また、行動のきっかけとは、健康行動を促すような、身近な出来事や情報のことを指します。
例えば、健康診断の結果が悪かったり、周りの人が病気になったりすることが、行動のきっかけになることがあるでしょう。
健康信念モデルは、なぜ人々が健康的な行動をとるのか、あるいはとらないのかを理解する上で役立つはずです。
また、個人の信念に働きかけることで、健康行動を促進するための介入策を考える上でも、有用なモデルであると言えます。
ウルフのように、健康に対する強い信念を持ち、健康的な行動を継続することが、健康で充実した人生を送るために不可欠であることを教えてくれるのです。