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投資の心理学3:ハーディング効果
ハーディング効果とは、集団心理の一つで、個々人が周囲の多数の人が行っている行動に同調しようとする傾向を指します。
この同調行動は、必ずしも合理的な根拠に基づくものではなく、個人の意思決定が、周囲の行動に大きく左右されることを意味します。
集団心理が働くことで、市場において過剰な反応が引き起こされ、価格の急騰や暴落に繋がることもあります。
『イワシの群れ、クリスの冒険と、灯台の光』
▶︎イワシの群れは、いつも集団で泳いでいた。一匹のイワシが右に曲がれば、皆が右に曲がり、左に曲がれば皆が左に曲がった。
それは、誰かが最初に動いたからというだけの理由だった。
ある日、群れのリーダーである長老が、いつもと違うルートを指示した。
しかし、特に理由はなく、皆が同じ方向に泳いでいるだけだった。
群れの中で、ただ一匹、クリスというカニだけが、群れの動きに疑問を抱いた。
クリスは、「なぜ、いつも同じ方向に泳ぐのだろう?」「本当にそれが安全なのだろうか?」と、自問自答した。
▶︎クリスは、群れを離れて、自分の目で周りを観察することにした。
すると、いつもとは違う方向に、煌々と光る灯台の光が見えた。
クリスは、灯台の光に向かって泳いでみた。
そこには、新鮮なプランクトンが豊富にあり、さらに、海流も穏やかだった。
クリスは、群れに戻り、灯台のことを仲間に伝えた。
最初は、疑心暗鬼だったイワシたちも、クリスの言葉を信じ、灯台に向かって泳ぎ出した。
結果として、イワシの群れは、より安全で美味しい食事にありつけた。
クリスは、群れに流されるだけでなく、自分の頭で考え、行動することの重要性を、イワシたちに教えた。
投資においては、市場全体のトレンドやニュース、SNSでの情報拡散などが、ハーディング効果を促進する要因となります。
例えば、特定の銘柄が上昇トレンドにあると、その背景にある理由を十分に理解していなくても、周囲が買っているからという理由だけで購入する行動が見られます。
また、市場全体が下落トレンドに入ると、冷静に判断すれば売るべきでない状況でも、周囲が売っているからという理由だけで、恐怖心から売ってしまうことがあります。
ハーディング効果は、市場における非効率性を生み出し、投資家が損失を被る原因となることがあるのです。
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