投資の心理学8:フレーム効果
フレーム効果とは、認知バイアスの一つで、同じ情報でも、提示の仕方(フレーム)によって、人々の意思決定が異なる傾向を指します。
この効果は、情報の内容自体が変わらなくても、情報の提示方法、表現方法、文脈などが異なるだけで、人々の認識や判断が変化することを意味します。
フレーム効果は、言葉のニュアンス、情報の順序、参照点の設定など、様々な要素によって引き起こされます。
『宝石商ジルとジャック、言葉の魔法』
▶︎ジルとジャックは、同じ宝石を売る宝石商だった。
ジルは、宝石の品質の良さをアピールする時に、「この宝石は、90%の確率で満足していただけます」と語った。
一方、ジャックは、同じ宝石の品質を、「この宝石を買わなければ、10%の確率で後悔するでしょう」と語った。
同じ宝石を売っているにもかかわらず、ジャックの宝石を買う人が多かった。
それは、言葉のフレームによって、受け手の印象が変わることを意味していた。
▶︎ジルは、この現象に興味を持ち、ジャックにその理由を尋ねた。
ジャックは、「人は、利益を得る喜びよりも、損失を避けることに敏感なため、損失を強調した方が、より効果的にアピールできる」と教えた。
ジルは、言葉の選び方一つで、同じ宝石でも、印象が大きく変わることを学んだ。
そして、言葉の魔法を使って、より多くの人に宝石の魅力を伝えることができた。
投資においては、フレーム効果は、投資商品の情報をどのように提示するかによって、投資家の意思決定を大きく左右します。
例えば、同じ投資商品でも、リスクを強調して提示された場合と、メリットを強調して提示された場合とでは、投資家の判断が異なることがあるのです。
また、投資レポートで、特定の投資戦略が「損失を回避できる」と表現されるのと、「利益を確保できる」と表現されるのでは、投資家の心理的な反応が異なります。
フレーム効果を理解することで、情報の提示方法に惑わされず、客観的な判断を心がけることが重要です。