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『教師の技術向上が、学習者の未来を切り開く 』この意識をもつきっかけとなった出来事。
日本語教師になってすぐの頃、ある日本語学校で教えていました。
毎日たくさんのレッスン。
毎日いろいろなクラスでのレッスン。
新米日本語教師ながら、自分なりに
「レッスンを楽しんでもらいたい」
「上手になってほしい」
という思いを授業準備に重ね、努力を続けていました。
その甲斐もあって、多くの学生から
「あなたの授業が一番面白い」とか
「あなたの授業が一番わかりやすい」とか
そんな言葉をかけてもらえることが多くなりました。
学生の満足や自分の成長も見え、とても有意義な新米日本語教師ライフを送っていました。
そんな中、一人の学生さんが学校に新しく入学し、数名の先生が交代で受け持ちながら授業をしていました。
私は、いつものように、この学生に「楽しく、わかりやすいレッスンを」という思いで向き合い、それなりに達成感のあるレッスンをしたつもりでした。
ですが、この学生が、
「これからは、U先生とのマンツーマンがいいです。」
と、学校側にリクエストしたのです。
私は
「え???」
と思いました。
おこがましいのですが、多分その当時の私は、結構自信を持っていたのだと思います。自分のレッスンに。
なので、この出来事は少しショックでした。
そして、そのこととほぼ同じくらいのタイミングで、この学生が指名したU
先生と話しているときに、
「私、授業中に、この学生の心を掴んだって、実感があったの。」
とのこと。
その先生は、決して派手に楽しそうに、、、でもなく、
どちらかというと、「真面目にコツコツ教えるタイプ」で、あまり際だって目立つレッスンをされる先生ではなかったのです。
ただ、一つ、他の先生方と違っていたのは
「経験と技術」「文法知識の深さ」
でした。
その当時の私の何十倍の経験をお持ちの先生で、そして、その先生を指名した生徒は、
「教師の実力を見抜くタイプの学生」
だったのです。
そういうタイプの学生でした。
この学生は、自身の将来の目標のために、どうしても日本語を早く習得しないといけない状況にあり、切羽詰まった状態でした。
この
「一日でも早く日本語の上達が必要」
「切羽詰まった」
状況の学生が選んだのが、このU先生でした。
この学生がU先生を選んだ、ということではなく、
「私は選ばれなかったんだ」という現実を受け止めるのが辛く、自分が力及ばなかったという現実を受け止めるのが辛く、ここで初めて、日本語教師としてのこれまでの自分のこと、知識のこと、技術のこと、気持ちのこと、全てを見直しました。
そして、技術の浅さを
「パフォーマンスに頼っていた」
部分を自覚し、
「恥ずかしい、、、」
と思い、
『教師の技術向上が、学習者の未来を切り開く 』
そんな日本語教師になりたい、と、本気で目指し始めました。
プロとして、もっと技術を上げたい。
本気の学生に選ばれる教師になりたい。
そのために私がすることは、、、。
「なるほど参考書」が生まれたのは、ここからです。
本気で文法の勉強を始めました。
初級のテキスト3冊、
文法書2冊、
その他の媒体、
などから文法情報を寄せ集め、分析し、まずは文法ファイルを作り始めました。
こんな経緯があり、
「本当に教師の実力を見抜く学生から認められる教師になりたい」
を目指し始めました。
それから今まで、この思いは、1ミリも変わっていません。
時代が変わって、教師の個性がどんどんわかりやすく表現される時代になっても、
「私の個性は"実力"だけでいい」
という思いは変わりません。
このU先生との出来事をきっかけに、私は更に「専門性の追求」に焦点をあて、そしてそれを今時の表現にすると
「日本語教師」× 「実力」
と、私のゴールはこれからもここだけだと思います。
いつもいつも、文法のこと、技術のこと、何度も同じような発信をしていますが、それは、何度同じ内容を上塗りして勉強しても、教えても、毎回新しい発見があるからです。
そして、木の根っこは、同じことを何度も繰り返すことから作られてきます。
「同じことを当たり前と思わず、新しい気持ちで常に基本に向き合う」
ことが最も大切なことだと実感しています。
何百回同じところを教えても
教師の皆さまに文法の知識や教え方のコツをお伝えしても、
相手が違えば質問も違う
毎回が新しい知識と技術との出会い
今日は、私の苦い思い出とともに、これまでのことと、これからの思いを振り返ってみました。
PS.おとといから発信してさせていただいておりますこちらの講座ですが、この講座も、「同じことを当たり前と思わず、新しい気持ちで常に基本に向き合う」思いで、一つ一つ映像撮影しました。
そして早速、お申し込みとコメントをいただきました。
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今後の日本語教師として、活動をしていく上で、どんなタイプ・レベルの生徒さんに対しても、臨機応変に対応が可能な万能日本語教師となりたいとおもっております。そして、以前からお話をお聞きしていた、N543のリスト一覧を是非拝見させていただき、自分自身のマニュアル作成に活用させていただきたいと思って、今回申込いたしました。
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ありがとうございました。
この「リスト一覧」というのは、映像で扱っているリストですが、お渡しするリストは、この一覧に、それぞれの文法の「接続とキーワード」も入っています。
今回のタイトルの
『N54→3』の意味ですが、
「N54の復習」も網羅しつつ、「N3」も教えられるようになる、という目的で作りました。
Nさんが期待して下さっている
「N543のリスト一覧」は、確実に、Nさんが望む
「どんなタイプ・レベルの生徒さんに対しても、臨機応変に対応が可能な万能日本語教師となりたい」
に必須のアイテムになると思います。
かなり究極に近い「これさえあれば」の道具として、活用していただける教材だと思います。
先日はサンプル映像の「001, 002, 003」をアップしましたので、今日は「004, 005, 005」をアップします。
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8月以降もお申し込みいただけますが、QAセッションは、期限内のみ(12月31日まで)です。
ご興味のある方、お気軽にお問い合わせ下さいませ。
はぁとinternational
Chihomi