2020年12月30日(水) 「今日ヤバイ屋台に行ってきた」読んだ

 今日ヤバイ屋台に行ってきたを読みました.

 こちらは「今日ヤバイ奴に会った」というインドの屋台料理を紹介するYoutube動画の書籍版です.

 インドの屋台は,おつりにキュウリを渡してくる店員さん,メニューの作り方を忘れる店員さん,屋台の下で寝ている野良犬,たくさんの「思い出」(=調理器具についた前の料理の残りかす),黒い妖精(=たかるハエ),炎上するフライパン,親の仇みたいな量のチーズ,暴力的なカロリー,…ととにかく「ヤバイ」ものがいっぱい.
 そんなヤバイけど素敵な屋台文化が紹介されています.



 お料理の異国情緒と作者さんの素朴でウィットに富んだコラムがとても面白かったです.

 サブタイトルの「インドでメシ食って人生大逆転した男の物語」というのは,「人生大逆転」という単語選びに人生の優劣とか勝ち負けの意識を感じてしまってちょっと合わないように思いました.インドでおおらかな価値観に触れることで視野の狭い悩みを手放していくっていうコンセプトの本なので.

 「思い出」や「黒い妖精」は日本の常識とはかなりかけ離れたもので,更にはコロナまで起こってしまったのでインドの屋台のこういった構造もかわっていくのかもしれないけど,精神的なおおらかさといい加減さはこれからも形を変えて残っていくんでしょうか.


 日本はギスギスしていて生きづらい,でもインドはおおらかで過ごしやすくて日本よりずっといい!みたいな,片方を批判したりもう片方を変に持ち上げたりしないところが個人的にすごくいいなと思いました.

 インドのおおらかさといい加減さについて絶賛するわけでも非難するわけでもない,でも今までの自分の常識とはかけ離れているからこその「ヤバイ」という表現なんだな,と分かってすごく納得しました.



 個人的に印象深いお店は,

 まずたまご300個のスクランブルエッグ.夢がありますねぇ.
 ここは珍しく「思い出」のない衛生的なお店で作者さんも驚かれたのだとか.それでいいのかインド.
 鉄板に残ったバターを吸ったパンのお写真がつやつやテカテカしていて美味しそうです.


 そして作者さんの親友のカーンさん.カーンズフレーバーというお店を経営されていて,本名はアラム・ムセンブさん.カーンかすってない.

 火柱を上げるフライパンを見て作者さんが喜んでいたことから,作者さんは火が好き→日本人みんな火が好き,と勘違いされているらしく,料理の上に送り火みたいなロウソクをわざわざ立ててくれたりするそうです.日本人への深刻な風評被害と言えよう.

 ちなみに,作者さんはヒンディー語が話せず,カーンさんも英語が話せないので,お互い片言の言葉とジェスチャーでコミュニケーションを図っているのだそうです.だから作者さんもしばらくはカーンさんの本名がカーンではないことを知らなかったそうなのです.

 それでもお2人は前世で兄弟だったと感じるほどの親友だそうで,おおらかな土地柄らしい友情だなぁと感じます.



 ちなみに,インドの屋台料理大好き日本人の作者さんですが,その作者さんの会社の社長さん(インド人)は「屋台はワイルドすぎる派」なんだそうです.そういうもんなんですね.

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氷の心臓
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