#89 ホラーなハロウィン前哨戦
お疲れさまです。
本日は2023年9月28日(木)です。
本日は、晩夏、初秋のホラーをご紹介。
これは昨日本当に起こった出来事です。
ノンフィクションです。
タイトル:24分のUX
夏も終わり、気温も落ち着いてきた頃のお話です。
それは突然の出来事でした。
仕事の移動で電車で座っていたら、自分の前に気配でも分かるほどの大柄なオジサマが私の前に立ち塞がりました。
推定46歳、171cm、150kg。
ビッグサイズではあるが相対的にスキニーのTシャツにスキニーの短パン。
手にはスマホを1台だけ所有し、とにかくスマホの操作に集中しているように見えました。
顔、腕には汗の玉が鈍い光を放っており、Tシャツ、短パンは大部分が水分で変色していました。
予感めいたものだったのかもしれません。
ちょっと心がザワツキました。
思い違いだと思い込んで、私は本(紙の書籍)を読んでました。
数分して、紙面に水滴が。
1滴
2滴
・
・
3滴
・
4滴
・
・
・
そして5滴
「あれ?雨?」
なんて有り得ないことなのに、事実を論理的に正当化しようとして一番初めに至った答えでした。
電車です。
当然、天井を見渡しても雨は降っていません。
その次に思ったのが、「網棚に載せた荷物から何かが漏れているのか?」
網棚を見上げました。
荷物はありません。
そして周囲を見渡しましたが雨や水分が飛び散る理由を見つけることはできませんでした。
ふと本に視線を戻すと、水滴が紙面に吸い込まれています。
そして、次に視界に入ってきたのが、本の向こうの革のカバン。
カバンの表面にも水滴が3滴ほど点在していました。
近くにあった2つの水滴は、その境界が重なることで1つの水滴になって、合計3つの水滴になっていました。
そして、それらの水滴も見る見るカバンに染み込まれていきます。
何が何だか理解できず、再度左右、前後、上下を注意深く見渡しました。
すると。。。。
もうそれしかない答えが目に飛び込んできたのです。。。。
それは前に立っていたオジサマの腕、手の甲、顎に汗の雫が玉を作り、電車の揺れ、手の振り、スマホの操作などによって、その珠玉の雫が本の紙面とカバンに新たな「染み」を次々に作っていきます。
その後、その雫は新たな居場所として、私の前腕を選びました。
私の前腕には電車の室内灯によって美しく?きらめく水滴が2滴。
そのあと私は、「嘘であってくれ!」という必死な思いとともに、「汗のしずくが作られているオジサマの手」と「本やカバンの染み」との間で視線を3往復ほどさせました。
すべてを理解しました。
理解したと同時に、心がフリーズしてしまいました。
心がふんわりと固まりました。
思考停止というのでしょうか。
瞬間冷凍する気力もなかったように思います。
現実逃避に近いと思います。
その後はただただ時間と電車だけが動いていました。
指一本動かすこともできませんでした。
心と体が考えることすべてを拒否していました。
視界は、ただただ本がある辺りをぼんやり捉えていたように思います。
驚愕、悪寒、恐怖、不安、震撼、絶望、が走馬灯のように過ぎた後、それらや事実をすべて拒否、拒絶し逃避することで訪れた無。
心も体も無でした。
58という番号だけを脳裏に残したままで。
しかし時というのは残酷なもので、いつかは降車する駅に着いてしまします。
駅名のアナウンスが何度か流れてきて、すべてを拒絶していた感覚に理性が戻ってきます。
「あ、降りないと。。。。。」
「本を閉じないと。。。」
「本をカバンに入れないと。。。」
社会人としてやるべき最低限の行動だけが連続してに頭をよぎります。
と同時に、絶望や嫌悪が蘇り、心を占拠していきます。
行動を止めようとする絶望を受け入れたまま、しかし反抗するように機械的に開いていた58ページを閉じました。
そして私は絶望を胸に押し殺し、隣り合わせの無を肯定しつつ、24分間乗車した電車を降りました。
ここでお知らせです。
今日はここまで。
ありがとうございました~❤
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