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言いがかりや非難に反駁しない力~さだまさしさんの世界に聴く~

私のページにご訪問くださいまして、誠にありがとうございます。感謝します(*^^*)

今日は「言いがかりや非難に反駁しない力~さだまさしさんの世界に聴く」と題して、さだまさしさんの世界観を素材として非暴力・無抵抗のスピリットについてお話したいと思います。


誤解されがちなさだまさしさんの詩の世界

さだまさしさんの歌と云うと、どうしても古くさいとか、優しさぶっていて気持ち悪いと言った先入観をお持ちの方がいらっしゃるようですね。

しかし、人生の中で例えば難病を得たり、私のように死の宣告を受けたり、あるいはそこまで行かなくても挫折したり、夢を失ったり、絶望と孤独の淵を彷徨ったりしている方の琴線に響く歌と云えば、私はまずさだまさしさんの歌を思い浮かべてしまいます。

その昔、松任谷由実さんやタモリさん、財津和夫さんといった著名なタレントからさださんは口を極めて非難されていました。

今は無き「笑っていいとも」という番組の中でも、さださんのことをもの嗤いの種としてタモリさんらのタレントたちが取りあげては嘲笑していましたね(^-^;

その洗脳効果もあってか、さださんと言うとどうも敬遠されがちな風潮がありました。

しかし、このところ、さださんを取り巻く風向きが変わってきたように思うのは、ひとり私だけなのでしょうか。

歌心りえさんによる『道化師のソネット』が韓国で大人気に!

歌心りえさんが韓国の歌唱大会でさだまさしさんの手になる『道化師のソネット』を見事に歌い上げて、韓国で大きな感動を呼んだことは記憶に新しいことです。

さだまさしさんがいくらディスられても、謂れのない誹謗中傷に対してじっと忍耐しながら自分の音楽世界を紡ぎ出し続けてきたことに、私は氏の強靭な精神力と胆力を見ます。

そのことからもうかがい知れるように、さださんの音楽世界というのは、基本的には強さと志をベースにした慈愛と優しさに溢れているのではないかと私は感じています。

強さと志に裏打ちされていない優しさの中には、確かに共依存的な優しさごっこが混ざっていることがままありますが、氏の音楽を通じて感じるのは、彼がひとを否定しないで肯定していくタフなメンタリティです。

そのようなメンタリティは、時として私たちが逆境のさなかに喘いでいる時に私たちをそっと支えてくれたり、労わりまた励ましてくれる強さと優しさではないかと私は思います。

歌心りえさんも長年日本では不遇の時代をお過ごしになられたようですが、『道化師のソネット』を選曲して素晴らしい歌唱力を響かせ、それが韓国人の琴線に触れた事実の中に、私はさださんの音楽世界の普遍性を見る思いがするのです。

ここに歌心りえさんによる『道化師のソネット』のYouTube動画を添付しますので、コトバの意味もよく分からなかったはずの韓国人の方々がいかに心を動かされているかをご覧くださいませ。

本物の歌心というのは、コトバの差異を超越してひとに伝わっていくことがお解りいただけるかと存じます。

がんばったってできないこともあるよね~「春爛漫」に学ぶ

さださんの隠れた名曲に『春爛漫』という佳曲があります。

この曲は、さださん恒例の年末年始の国技館コンサートでも歌われて来た曲なので、さださんをリスペクトするアーティストの間では有名な曲ですが、広く周知されているとは言えないかもしれません。

がんばったってできないこともあるよね
何回やっても駄目なことも
完璧だったと思ったのに相手が上だった
外れクジばかり引いてるようで
がんばったふりしてさぼったこともあるよね
どうせどうにもならない気がして
でも絶対あきらめちゃ駄目
季節が巡るように春が来る

このように詠いながら、さださんは「あなたに出逢えた大当たり」という地点に歌を落として行って、がんばれない人のことも、がんばってもできなかった夢たちのことも一切否定しないでその歌世界を紡いで行くのです。

今のギスギスした世の中に必要な要素は、あらゆる人たちのリアルを知ってもなお、その人たちやその夢たちのことを一切いじったりディスったり否定したりしないで、悩み苦しむ人と同じ眼差しになってコミットする臨床的な姿勢ではないかと私は考えています(*^^*)

ここに『春爛漫』の動画を添付しますので、どうぞ一度耳を傾けてみてください。

アップテンポの明るい曲ですが、決してうるさい曲ではないですよ(*^^)v

槇原敬之氏による『案山子』に観る相互リスペクトの美しさ

さださんがひとを否定しない姿勢を貫いていることもあり、音楽の世界にはさださんをリスペクトしているアーティストたちが大勢います。

それらのアーティストの中でも、槇原敬之さんや木村カエラさん、MISIAさん、ゆずさん、三浦大知さんと言った有名どころが集まって作ったトリビュート・アルバムに『みんなのさだ』という音源があります。

このCDに収められている楽曲には、アーティストそれぞれの解釈が加えられているものが多いのですが、槇原敬之さんがカヴァーした『案山子』には、槇原さんのさださんに対する深いリスペクトを感じました。

槇原さんはできるだけ原曲のアレンジを尊重しつつ、何とも嬉しそうに、そして楽しそうに『案山子』を歌っているからです(*^^)v

元気でいるか
町には慣れたか
友だちできたか
寂しかないか
お金はあるか
今度いつ帰る

このように始まる『案山子』は、令和に生きる若者たちにも寄り添っていける楽曲のように思います。

手紙が無理ならなら電話でもいい
「金頼む」のひとことでもいい
おまえの笑顔を待ち侘びる
おふくろに聞かせてやってくれ

この曲は、いわゆるZ世代の若い人たちにこそ一度耳を傾けていただけたらと思う曲です。ここに槇原さんと元祖さだまさしさんの動画を添付しますので、どうぞ一度ご視聴くださいませ(*^^*)


とかくエゴが出やすいアーティスト同士が、お互いの才能と作品を認め合い、リスペクトし合う姿勢は美しいですね。私はここにもこれからの世界の立て直しに必要な「相互リスペクトコミット」の価値を見る思いが致します。

言いがかりや非難に反駁しない力~非暴力・無抵抗のスピリット

非暴力・無抵抗主義と言いますと、大英帝国からインドの独立を勝ち取るうえで精神的支柱となったマハトマ・ガンジーが先ず思い浮かぶのではないでしょうか。

ガンジーが暗殺されてからも、彼の非暴力・無抵抗主義という権力に対するスタンスは後世の一部の人たちによって受け継がれてきました。

自分に対して圧政を強いたり、虐待して来たり、言われなき誹謗中傷をする者たちに対して無力なままでいるということは、ガンジーの思想とは異なるのですよね。

非暴力・無抵抗ということは、圧政者に対して境界線を引いて「ノー」と言わないことではないからです。

ガンジーは暴力的な手段にこそ訴えませんでしたが、大英帝国に真正面から挑み、時に命懸けの断食すらしてあのインドをまとめ上げるよう尽力したのでした。

勿論私はさださんとガンジーを同一視しているのではありません。さださんも若い頃は安保闘争のデモに参加したり、血気盛んな青春時代を過ごしたり、その反動で無気力になりアイデンティティに悩まれたりと随分苦しまれたようです。

私がガンジーの非暴力・無抵抗主義を取り上げたわけは、東日本大震災以降の氏の楽曲と活動の中に、権力に対して正面切って舌鋒鋭く非難する代わりに、いま苦悩している方々とともに泣いたり笑ったりしながらあらゆる人たちを包摂して肯定していく方向性に̪さださんが舵を切ったことを感じているからです。

世の中にはいろいろな背景と多様な生活史を持ったさまざまな人たちがいて、互いに傷つけあったり、あるいは励まし合ったりしていますよね。

その人間模様は、さながら鳥獣戯画の頃から本質的には変わらないかのようでもあります。

さださんの歌は決して軟弱ではないですし、優しさごっこを振りまいて人々に媚びを売っているのでもありません。彼はこの世というまるで鳥獣戯画の世界のような澱んだ水の上澄みの美をたおやかに詠い上げることに専念しているように私は見ています。

声高にひとを非難してキレる人の目立つ昨今の日本だからこそ、共感性を持って人様の有様の背景を推し量り、ひとのことを悪し様に否定したりディスったりしない寛容と慈愛の精神が求められているように思うのです。

私は一応クリスチャンですが、その私もさだまさしさんの楽曲の中に秘められた強靭な共感性に、非暴力・無抵抗のスピリットを学ぶ気がするのです。

結びに

今日はいつもと趣向を変えて、私が敬愛するアーティストのひとりであるさだまさしさんの楽曲からひとに対する共感性と非暴力・無抵抗のスピリットについてお話してきました。

言い掛かりや誹謗中傷に無闇に反駁したり反論したりしないで、自らを反省しつつも我が道を真っ直ぐに歩み続けるということは、言うは易く為すは難いことだと思います。

このような胆力のあり方は、哲学的にはニヒリズムの超克ともつながる姿勢であり、存在論的なイニシエーションの目指す方向性の一つとも言えるかもしれません。

私は前立腺がんや膀胱がんが寛解しただけではなく、徐々にですが持病の膠原病や潰瘍性大腸炎や腰椎ヘルニアの病態にも改善を見ています。

その支えとなって来たものが信仰であったことは間違いないのですが、心が疲れてしまった時に聴いていたさだまさしさんの楽曲がおおいに私を元気づけてくれたことを証しして、今日の記事を閉じたいと思います。

最後まで長文の記事をお読みくださいましてありがとうございました。

あなた様のご多幸を祈りつつ。

感謝いたします(*^^)v

Koki Kobayashi拝





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Koki_Kobayashi
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