自分の中の鬼
最近話題の「鬼滅の刃」
子供たちが大好きで読んでいるマンガで
私も手に取り読んでみました。
この漫画は大正時代の日本が舞台。
主人公の竈門炭次郎(かまどたんじろう)が
町に墨を売りに出かけている間に
家族が鬼に殺されてしまうという所から
お話がスタートします。
家に帰り着いた炭次郎が目にしたのは
「惨殺された家族の姿」
そして1人生き残っていた妹の禰豆子(ねずこ)
は鬼に噛まれたことにより
鬼になってしまいます。
兄・炭次郎は鬼になった妹・禰豆子を
人間に戻すため、そして惨殺された
家族の仇討ちのために鬼狩りの道へ
と進むことを決意!
炭次郎は鬼になった妹をかかえながら、
鬼を倒していくというストーリーです。
初めから衝撃的なシーンから始まり
読み手も鬼への怒りを覚えます。
しかし読み進めていくうちに鬼にも
悲しい過去があることが明らかに
なってくるのです。
鬼に噛まることにより鬼になって
しまう鬼とこの世の理不尽さから
鬼の血を飲み自ら鬼になることを
選ぶ鬼もいるのです。
親に幻滅する者、ひどい言葉に
幻滅する者、不平等さに幻滅する者、
それはこの世の中にある闇の中で
もがき苦しんだ心が鬼になることを
選択し自分の心に気が付かず
のうのうと生きる人間に仕返し
するかのよう...。
鬼の力には勝てない弱い人間を食べ、
どんどん力を増していく鬼たち。
でも本当は弱くて自信もなく力のない
自分から逃げているだけ。
本当はこんな醜い自分をも
受け入れてほしい程の愛に飢えて
いる鬼たちがそこには描かれている。
この漫画を読み進めているうちに
自分の中にある鬼を見つけた。
何十年たっても満たされることのない
愛に飢えている自分。
年の離れた妹が産まれてから
私の孤独な人生が始まった。
それまでの私への愛情がすべて妹に
流れていった。
私には買ってくれたことのない
ぬいぐるみやレコードを妹にだけ
買った父親。
妹が産まれて大変になった母親は
学校の行事にも来なくなった。
妹の存在は私にとって邪魔そのものだった。
私の中に鬼が産まれた。
子供を育てる大変さを学び親の立場に
立ってみるとすべてわかる事でも親に
なってみないとわからない。
20歳くらいの時なら私も自ら進んで
鬼の血を飲むかもしれないと思った。
誰しも少なからず心の中に小さな
サカムケがあってそんなちっぽけな
サカムケが人間を鬼にしてしまうので
はないのかと思う。
「鬼滅の刃」を読むことで自分の心と
真剣に向き合う機会も与えてくれる。
そして家族を惨殺されても鬼の心の
悲しみ・孤独・寂しさに寄り添う
主人公の竈門炭次郎(かまどたんじろう)
の優しい心も必ず自分の心の中にある
と感じさせてくれる。
そんな「鬼滅の刃」は読み手の心
をつかみ離さないのだろうと私は
思うのです。
最後に自分の中に鬼が
生まれた私ですが結婚して
子供を育てるうちに親は子供に
同じ愛情を注ぐのだと分かり
鬼はある時から小さくなり
そのうち消えました。