医聖ヒポクラテス、かく語りき
医学の父にして、世界最古の医師と言われる、『ヒポクラテス』。
紀元前460年ごろ、エーゲ海のコス島に生を受け、医学を学び、紀元前370年ごろに逝去するまで、ギリシャ各地を遍歴して病に苦しむ人々を救ったと言われています。
その功績の一つとして、それまでの原始的な迷信や呪術から医学を切り離し、経験と観察、臨床を重視する科学へと発展させたことです。
医学校やコ・メディカルの専門校で必ず学ぶ、医療者の倫理規範を述べた『ヒポクラテスの誓い』は、あまりにも有名です。
私も理学療法士の養成校で、一番最初に習いました。
そんなヒポクラテスは、たくさんの名言を残しています。
この記事では、数多ある名言の一部をご紹介していきます。
人は、自然から遠ざかるほど、病気に近づく
これは文字通り、自然の摂理を無視することは、病への第一歩ということでしょう。
朝、陽が昇るとともに起床し、体が欲する水と食料を体に入れる。日中は体を動かし、暗くなれば眠る。
現代、人間を起床させるのは朝日ではなく、『機械的な目覚まし』です。
周囲には、自然ではなく『人間が科学的に作り出した』食べ物が溢れています。
日が暮れても街は明るく、家に帰っても、目に刺さってくる人工の光で溢れています。
そしていつしか、自然の摂理から心身が逸脱し、自律神経が乱れ、厄介な病が引き起こされていきます。
『じゃあ、原始時代に戻れというのか⁉』
こんな極論には、何の生産性も有りません。怒りは更なる病を呼びます。
文明の利器の恩恵に預かりつつ、各々が出来る範囲で自然に還ることが必要であると、ヒポクラテスもきっと思っているはずです。
人間は、誰でも体の中に百人の名医を持っている
個人的に一番好きな言葉です。
自律神経系がバランスよく働き、免疫系が上手く作用し、体中に良質な血液が循環し、毒素が滞りなく排泄され、良質の睡眠により組織が修復、代謝されていけば、我々の内側からは病は起こり得ません。
そこには、薬や外科手術が介入する余地はありません。
しかし現代では、この自然治癒力が失われやすい環境が出来上がってしまい、我々はそこで生きていかねばならない状況です。
そしていつしか、薬や外科手術によってしか、健康を保つ事は出来ないと、信じ切ってしまいました。
我々人間は、自分たちが本来持っていた、自然治癒力を忘れつつあります。
ヒポクラテスの名言は、これに警鐘を促しているように思えます。
心に起きることは全て体に影響し、体に起きることもまた心に影響する
約2500年前の医師が、病の本質をとっくに見抜いていました。
医師を含めた現代の医療従事者が、どれだけこの本質に気づいているでしょうか。
人間は、複数のパーツが集合して出来上がっている有機体と、それに付随する精神から出来上がっている、単純な機械ではありません。
エネルギーヒーリングを仕事としている今なら、それがハッキリ分かります。
病は氣から、と言います。
精神的に病むと、氣の循環が悪くなったり、氣が枯渇してきます。
そうすると、血液やリンパ液の循環も滞っていきます。
そして、体中の細胞に栄養が届かなくなり、毒素は溜まり続け、免疫系も作用しづらくなります。
結果、病が発生します。逆もしかりです。体が病むと、心も病みます。
世界は、とっくにそれに気づき始めています。
国を挙げて、代替医療やホリスティック医療の研究に取り組んでいるところもあります。
はたして、日本はどうでしょうか?
病気は食事と運動療法によって治療できる
我々は、少し体調が悪いと、
『サプリ飲まなきゃ』
『栄養のあるものをたくさん食べよう』
とか、何かを『プラスして』改善しようと考えがちです。
たしかに『プラス』することは必要でしょうが、その前に、余計なものを『マイナスする』という考えも大事です。
現代は、『飽食』の時代です。
自然界を見渡しても、腹いっぱいに食べる動物は、人間ぐらいしかいません。
それは何故か?
動物たちは知っているからです。
腹いっぱい食べると動けなくなるし、病気になってしまうと。
足るを知る。腹八分目。そして、適度に運動する。
これで健康は維持できます。
病気は、人間が自らの力をもって自然に治すものであり、医者はこれを手助けするものである
我々は、病気は『治してもらうもの』と思い込んでいます。
自分で何とかしよう、自分の健康を自分で見直してみよう、といった能動的な態度を忘れています。
本当に医療が必要では無い人達が、他力本願な思いで医療を頼り、結果として医療財政が逼迫、そのしわ寄せは重い税金となって、我々にのしかかってきます。
医療者側も、内省する必要があります。
『私がこの人の病気を治す』
『私じゃないと、この人の病気を治せない』
傲慢にも、そう思い込んでいないでしょうか。
『私たちの内なる自然治癒力こそ、真に病を治すものである』
ヒポクラテスは、そう語っています。
患者さんや、クライアントの持つ自然治癒力に、全幅の信頼を置き、自分はあくまでそれが発動するきっかけに過ぎないと、認識する必要があります。
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